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声を拾って  作者:
34/60

33.「不幸の連鎖」

もし、人生が誰かの筋書き通りに進んでいると知ったとして、絶望しない人がどれだけいるのだろう。

俺は、絶望しない側だった。正確には、そんなことなど思いもよらなかった。


いくら、矛盾する過去の記憶がいくつも目の前に現れたところで、それは夢のようなものだったからだ。

夢が何故安心するのかといえば、”現実に害を為さないから”

俺がいくら夢のような記憶でなにか今とは違う過去としか思えないものを見たとしても、”現実に害を為さないなら”深く考えたりはしない。


もし俺が深く考え悲嘆するかのような人間だったら、俺は全く違う生き方をしていたと思う。

けれど、俺は全く気にしては居なかった。あの時の心理状況を説明するのは骨が折れるのだが、俺はおかしいことに、”全て現実だとしても変わらない”と、感じていたのだと思う。

既にその頃には、俺にとって相関図からなる人とのかかわりも自分という存在も形としかとらえなくなっていた。


そして、次第にここは俺の居場所ではないのではないかとも考えるようになってしまっていた。

どこにいても、俺が異物であるような違和感が消えない。


何をしていても、なにが起こっても。

……そう、俺の周りであらゆる不幸が起こっていたとしても_

全ては形に過ぎないから

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