13.
青年は、私の部屋についてからも滾々と眠り続け、昇った日がまた落ちてしまってもずっと目を閉じてしまったままです。私は、いつ青年が目を覚めてもよいようにふわふわ漂う子たちに青年のことをよくよく言い聞かせ目を配ってくれるように頼みました。
私の部屋には、たくさんの私の使いの子たちがふわふわ浮いています。
透明な水の玉の精霊の子たちは、楽しいことや明るいことや悪戯が大好きです。そして、結構ドジっ子です。半泣きになりながら私にごめんなさいをすることがよくあります。彼らはよくわらってふわふわ楽し気に自由に遊ぶことの方が多いのですが、青年の様子に今は不安げにふわふわ彼の周りを飛び回っています。一生懸命この子達なりに青年を癒そうとあんまり上手ではない癒しの水を霧状に彼の周りを囲ったりしていました。
私は、この洞窟の中では彼の周りに水の膜を張ることをしません。ここは私の水の領域。私の水の膜と同じ性質の空間なので、青年は大丈夫だと判断したからです。
私は水の精霊なので、ひかりを作り出すことはできません。私自身は、目で見る必要は無く細かく感じる感覚だよりにも問題なく動けるのでこの洞窟は暗いままです。見る方によっては、薄青い光が(水の玉の子たちの様子が)ちらちらと数百も舞い、ライトアップされた夜桜のようだと表現してくださるかもしれませんが、きっと青年にとっては大変な場所でしょう。
私は、丁寧に磨かれた引き出しから金製の燭台と幾何学模様の模様が繊細に彫られている大きな蝋燭を出しました。私の何千年もの透明な音を探す過程でお会いした神父さんから頂いたもので、このひかりは精霊の目にも優しいから私が死んでしまってから寂しくなったら偶に灯しなさいと渡されたものでした。
ふわりとした、私の目にも優しい柔らかな暖色の光がまるで灯篭のように洞窟の中を照らしました。
ゆらゆらとゆれる光の影に薄青い水玉の精霊たちの数百の光。蛍の光のようにふわふわふわふわと優しく柔らかく。
その様子を安心した気持ちで見つめながら、青年の様子を遠目から伺いました。
水と布で作られた柔らかなベットは青年を柔らかく包み、水の膜は柔らかく青年の肩幅までを覆っています。どうか優しい夢をみていられますように。そんな風に思いながら、いつの間にか月が出てきていたのか
洞窟の外から海に伸びる光の筋を見つめていました。




