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12.
ばたんっという音がして、振り返ると、青年が地面に倒れてしまっていました。
忘れていました。いくら特異体質の彼とはいえ、……いえ、特異体質の彼だからこそ、
ここ、精霊の世界は彼の身体に毒なのです。人でも人外でもない彼には強すぎる精霊の世界の濃密な空気。
私は慌てて、青年の元に駆け寄ると彼の額に手を乗せました。
火傷しそうなほどの熱に自らの顔が真っ青になっていくのがわかりました。
空気中に含まれる水分を手のひらに集めて、それを一気に冷やし、彼の額にあてることを何度か繰り返しながら、青年の身体の周りに水の膜を張りました。少しでも彼の身体に毒が回らないように冷たい夜風が彼にあたらないように私ができることをします。何度か彼の口元に精霊だけが作り出せる光の水を何度か流し込みました。強すぎる精霊の気を薄めたものを青年ようにブレンドした私特性のものです。
少しずつ青年の熱が収まり、柔らかな寝息を立てるようになるころには、日がすっかり上ってしまった頃でした。
青年を引きずるように抱えて何とか私が使っていた洞窟の中の一室に運びました。
久しぶりに帰ってきたそこは何も変わらず懐かしい匂いに思わず少しほっとします。




