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声を拾って  作者:
12/60

11.

「……あの、」

ただ、尋ねようと口を開いたのですが、そこではた、と固まってしまいました。……どのように尋ねたらよいのかわからなくなってしまったのです。

唯さんという方のことを聞きたい。私は、本当に本当に気になって仕方なかったのです。……当然です、彼は一日中、それこそ私が傍にいても気づかないまま、唯さんという方のことばかり考えていて、涙していて……、ずっとずっと聞きたかったのです。何があったのですかって。


でも、唐突に口に出したら、明らかに変ですから、私は、ぐるぐるとそればかり悩んでおりましたら、青年が意を決したように私に対して口を開きました。


「……僕は、せ、……あなたが、何故、僕の前に突然現れて下さったのか、僕を手助けしてくださってこちらに連れてきてくださったのか……教えて頂きたいのです。」


きっと、彼は先程小鬼が私のことを水の精霊と言っていたことを聞いていたのでしょう。精霊と言いそうになって、あなたと言い換えて、私にそう聞いてきたのです。


私は、そういえば、青年の立場でものを見れていなかったわ。と初めてそこで気がついて内心わたわたしながら、極めて落ち着いた様子を心掛けながら答えました。


「……それは、……あなたに私がひきつけられたからです」


正確には、透明な音にひかれて、彼の元にたどり着いたのですが、それはあまり言いたくはありませんでしたので、彼には伏せました。


緊張しながら答えたので、青年からは私が気を悪くしたように見えたようで、もしかして聞いてはいけないことだったのでしょうか……と不安げに尋ねられました。


思わずふるふると首をふって、違うと答えてしまい、気づいて恥ずかしくなりながら、青年を見やると、ほほえましいような表情で見られました。


……青年よりもずっと私の方が年上なのに、彼の前だと調子が狂ってばかりです。

耐え切れなくなって、くるりと青年に背を向けました。

水色の髪がふわりと風に揺れます。


目線を外して空を見ると、降るような星空が天にはありました。

清廉な風に心地よさを感じ自然と頬を緩めます。



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