獣人の大陸
この世界には三つの大きな大陸がある
一つは、歪で大きく丸い形をした。人間の大陸『コースタイン』
一つは、角のない三角形の方な形をした。獣人の大陸『フィージェンジェイ』
一つは、小さく一つの鋭い角がある四角形をした。魔族の大陸『カルタリンゴーン』
獣人。その見た目は獣なれど、人間に限りなく近い骨格を持つ。それゆえ二足歩行での生活をしている
平均的な身長は二メートルを有に超え、種族に寄ってそれぞれの動物的特徴を持つ。大陸からは殆どが出ない
持久力はないが、短期決戦では無敵の強さを持ち、過去の戦争では、侵略してきた人間国をその圧倒的強さで一夜にして全滅させたという伝説まである
大陸には十の種族がある
犬族は小さくても二メートル。大きい者で三メートルを超える。数は十の種族内でも真ん中辺りに属するが、この一族は何と言っても義に厚い。恩を忘れず、忠義に生きる一族として。他の種族からの信頼は孤高のもの
この閉鎖的な大陸の中にも変わり者はいる
白い体毛に包まれたニメートルの身体をもつ一匹の犬族がいた。腰には鉈の様な剣を鞘にも納めずに吊っている
今の体勢は四つん這い。虚ろな目で下をみている。そしてーー
「うをええええええええ」
吐いた。
彼は現在海に出て、いかだの上に乗っていた。理由は簡単で、最も過酷な物。大陸の外に行きたいただそれだけだった
過酷な理由は二つ
一に大陸の外に行くのは、一族の代表。それか罪を犯し、島流しに会う者だけだ
そして二つ目。彼は乗り物と言うものがてんで駄目だったのだ
大陸で海に出た友人を眺めている黒い虎族がいた。大きく溜め息をつくと、いかだがひっくり返るのを確認して海に飛び込んだ
「うぇ! げほっご」
「どんな嘔吐き方だよ。全くお前って奴は」
こめかみを抑えながら何度か首を横に振る
「どうじでもぞどにいぎだい!」
「お前の気持ちは私には解る。でも、お前じゃムリだろ。素質はあるんだ。しっかり力を付けて代表として外に行けばいいじゃないか。そしたら誰も怒らず、寧ろ協力してくれるだろうが」
「その方法だと自由がないじゃないか」
泣きながら答える犬族に虎族は、もう一度大きな溜め息をついて言った
「代表として出たらそのまま逃げちまえばいいだろ?」
その考えはなかった。と起き上がる犬族をみて虎族は笑う
「私も着いて行ってやるからさ」