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文系男子の処世術  作者: Kudryavka
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第5話


『討論部』


この部活動は名前の通り 『討論 』をする部活動だ。

ただ『討論』という単語はさまざまなニュアンスを含んでいる。

話し合い、会合、談話、論議、井戸端会議、ディベート、ディスカッション。

全て対話という点では、大差ないのだがそれぞれシチュエーションが異なるものだ。

武力を認めぬ日本では、話し合いはよく行われることだ。


元総理大臣の『犬養毅』は五一五事件の際、襲ってくる青年将校に対して、最期はこう言ったという。

「話せば分かる」

と。

まぁ、実際の最期の言葉は

「痛い」

とか、

「医者を早く」

とかだったらしいから、この話が本当かどうかは知らんがな。


だが、このような理由から『討論部』の意義は理解できたと思う。


できたと思う………?


できるわけねぇな。

なんなら俺すら未だによく分からないまである。

ただ、この部活の部長である薄氷みぞれが、こんなかんじのことを言って教師を丸め込み、ここを去年の秋に創部したのは確かなことだ。


ちなみに副部長はこの俺。薄氷が理系のため、性別と文理のバランスというだけで決められたお飾りに過ぎないが。


基本的にはこの討論部、誰かが題材を持ってきたときに行われる。


そして、今日は…

「英語を勉強することは将来、本当に私たちの役に立つか。

これを討論してほしいわ」

口を開いたのは、今日の幹事。というか、みんなをここに呼び出した張本人、薄氷みぞれだ。


「しかし、いかにもテストで出てきそうな問いだな。英語で意見を書かされそうだ」

もしくは、英検の2次面接。


「ええ、実際出てきたわ。

その時は賛成側の意見に立って書きなさいというものだったけれど。

まぁ、英語の試験だから当然といえば当然なのだけれど、それでもこういうのって学生の思想を操作していると思うのよね。つまり教育っていうのは、見方によっては悪質な宗教にもなり得るってことだわ」


薄氷の発言にぽかーんとなる俺たち。

なにこいつ、国家反逆でも図ってんのか?

それとも将来は教育委員会と戦う正義の組織『PTA』に属するつもりなのか?


「前座はこれまでにして早速討論を始めましょうか」


題『英語を勉強することは将来、本当に私たちの役に立つか。』


「ねぇー、ちょっと、男子ちゃんとしてー」

合唱コンクール練習時の真面目系女子の常套句

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