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文系男子の処世術  作者: Kudryavka
3/5

第3話

自由な、調和のとれた、

何気ない、殊に何気ないと

いふことは日常生活で一番

望ましい気がしている。


これは、志賀 直哉 の言葉だ。

志賀 直哉 という作家は、もちろん知っていると思う。教科書にものっている、明治時代の作家である。

名字が同じこともあり俺も、よく読む。作品は好きなのだが、この言葉には賛同しかねる。

何もない日常がいいというやつは、相当波乱の人生を送っているに違いない。

人は自分の持っていないものを求めるものであるからだ。そんなもんだろ。

つまり、なんもない俺は突然黒い炎が出る異能に目覚めたり、昔結婚の約束をした幼馴染みが転校してきたり、夢の中で入れ替わった女の子と再会したり…エトセトラエトセトラ。

こんな妄想を抱くのだ。


やば、俺恥ずっ。


「というわけで、気をつけて帰るように」

放課後のホームルームの時間に自由な考察をするのが、俺の日課である。

このときに出るニヤニヤがクラス中の奴らに気味悪がられていることを俺はまだ知らない


……………… わけがない。


陰口というのは、思ったよりも本人に聞こえているものである。それともあれは、本人に聞かせるつもりでしゃべっているのだろうか?


ヴーヴー

スマホのメッセージアプリに通知が届く。


『1600 部室集合』


「はぁ 」

つい読んでしまったメッセージを見て自然とため息がでる。

知らんぷりをしようにも相手のスマホにはすでに災いを呼ぶ二文字が刻まれているはずだ。


『 既読 』と。


さつき何気ない日常なんていらねぇと言ったな。


すいませんでした、前言撤回させてください。


この後に待ち受けているであろう厄介事を前に、心を改める俺だった。


やろうと思ってたんですけど失くしてしまってて…(宿題を忘れた男子小学生の常套句)

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