表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
中二病生徒会長は微笑んだ  作者: 神戸こーせん
5/10

〈一章〉中二病生徒会長、参上(4)

 火災現場から遠く離れたある場所で、立ち上る火柱を見下ろしながら、その人影は鼻歌を歌っていた。

「今日もよく燃える」

 パーカーについているフードを深くかぶりながら、火に包まれた建物を眺める。耐久性を失いガラガラと音を立て崩れていく建物の様子がここからでも確認できる。

「そうだ。そうやって全てを燃やし尽くせ」

 右手に持つライターの蓋を開けたり閉めたりする。そのたびに、乾いた金属音がカチンカチンと響く。

「世界の闇を燃やし尽くせ」

 ギリッと音が出るほど奥歯を噛みしめ、燃え盛るそれを睨みつける。ライターを握る手にも力が入っている。息が荒くなる。

 人影は、火だるまとなっている建造物を呪うかのような目で見つめる。どす黒く淀んだ瞳だった。

「ありとあらゆるすべてを根絶やしにする。確実に、完璧に、完全に」

 ライターの蓋を開き、そして火を灯す。ターボライターをさらに改造しているのか、ライターから放出されている火は、普通に市販されているライターのそれとは比べ物にならないくらい大きい。

 火が人影の顔を照らす。

 人影は男だった。年齢は牡丹や恋よりも少し上と言ったくらいだ。二十歳程度と推測できる。整った顔立ちのその青年は、口元を緩ませて笑う。

「俺は復讐者だ」

 そしてライターの蓋が閉じられると、再び青年の顔が闇に埋もれる。

「待っていろ。もう少ししたらお前らの番だからな」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ