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中二病生徒会長は微笑んだ  作者: 神戸こーせん
2/10

〈一章〉中二病生徒会長、参上(1)

『幸せと不幸せは、同じ比率で存在するものである』


 子供の頃、父親に読んでもらった本にそんな一文があったことを覚えている。今は亡き研究者・反旗翻牙の言葉だ。

 彼はこの言葉の後にこんなことを述べている。


 幸せなことがあれば、不幸せなこともある。逆に不幸せな出来事の後には、必ず幸せなことがあるとも言える。

 その比率は一対一になっている。幸せや不幸せと呼ばれるものは、言ってしまえばコインの裏と表のようなもので、それが訪れるのは二分の一の確率なのだ。

 そしてそれは、この世界に生まれてきたものすべてが、同じように与えられるものである。死ぬ時が早かろうと遅かろうと、生活環境に恵まれていようといまいと、その比率が覆されることはない。

 しかし悲しいことに、それらの概念は人によって感じ方が異なる。ある者が幸せと感じていても、他者には不幸せと感じることもある。

 幸せとはまったく持って曖昧で不安定な存在だ。

 それでも私たちはそれに憧れ、追い求め、感謝するのである。

 私はその不確かな存在が、人を生きようとさせる動力の一つなのではないかと思う。


 それから時が流れ、こうして高校生にまで成長した今でも、この本を読み終えた時の記憶は鮮明に覚えている。

 そして多分、これからも忘れることはないと思う。

 根拠は何一つないけれど……。

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