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ジブンセカイ

作者: ふくしょう
掲載日:2015/01/27

「ここどこだ?」

「さあ、どこもなにもないでしょうね」

「そうだな。真っ白だ」

「真っ白ですね」

「ところで俺はお前の顔が見えないんだけど、もっと言うと顔が意図的に隠されたようになってるんだけど、お前は誰だ?」

「誰も何もないでしょう。今あなたが置かれている状況を正しく理解することができれば、図らずとも答えはでてきます」

「ふーん。お前は何も教えてくれないんだね」

「教えなくとも後でわかります。そんなことより、後ろに扉ができましたよ」

「本当だ。入らないと駄目?」

「それは自分で決めてください」

「…わかった。入ろうか」

「何があるか楽しみですね」

「不安不満しかないよ」


「何が見えますか?」

「いや、お前も入ってこいよ」

「これはあなたが体験することですから。加えて、私が外にいないとこの扉が消えてしまう可能性がありますから」

「よくわからないけど、とりあえずお前は中に入ってこれないということか」

「そうですね。では、何が見えますか?」

「学校の教室」

「では、誰か居ますか?」

「いるのはいる。正確には四人いるんだけど、お前と一緒。顔が見れない」

「そうですか。では、その人たちは何をしていますか?」

「一人は虐められていて、その一人を虐めている奴が二人。そして、傍観してる奴が一人」

「なるほど。あなたはその光景を見てどう思いますか?」

「どうって。傍観してる奴が許せない」

「なぜです?」

「そんなこと言わなくたってわかるだろ。目の前に虐めがあれば止めるべきだ」

「そうですね。素晴らしい考えです。では、一度戻ってきてください」

「…わかった」

「いじめには様々な解釈があります。虐めている側が絶対悪とする場合と傍観者こそが絶対悪とする場合。はたまた教育体系の甘さだとか。難しいですね。どれが一番なのでしょう?あなたの選んだ悪は傍観者でしたね」

「どれか選ぶならってことだよ。虐めは全部が悪い」

「おかえりなさい。すでに新しい扉ができてますよ。どうしますか?入りますか?」

「入らないといけないんだろ?」

「入らないと駄目ということはありません。選ぶのはあなたです」

「わかった。入るよ」

「お気をつけて。先ほどあなたは虐めは全てが悪いとおっしゃいました。それに虐めの被害者は含まれているのですか?だとするとなぜ、含まれるのですか?その答えは出さなくて結構です。ですが、深く考える必要があります。さて、そろそろ状況を教えてください」

「勝手にペラペラ喋っておいて、その言い方はないんじゃないか?あと、虐めの被害者はそこにずっと居座ることをよしとすることがいけないんだ」

「随分と厳しい意見ですね。あなたは今までそういう経験をしたことがあるのですか?」

「そういう事を考えているからこそ、そういう状況に自分が置かれたことはないよ。でも、軽々に虐められている方も悪いだなんて言えないけどな」

「なぜ私には言ったのですか?」

「お前はそういうものの外にいるような感じがするから…かもしれない」

「なぜか喋ってしまった。そういう解釈で良さそうですね。では、本題に戻りましょうか」

「中の状況だよな?簡単に言うとだな。二人の人間が争ってる」

「どんな風に争っているのですか?」

「胸ぐらを掴みあってる。どういう理由でそうなったのかはわからないけど、かなり追い込まれた状況ってことはなんとなくわかる」

「他に何か見えますか?」

「他は…でかい人?怪物みたいなのが出てきたぞ。これは俺も逃げたほうがいいよな?」

「そんなに焦らないでください。あなたはそちらの人には見えていません」

「そうなのか。あ…」

「どうかしましたか?」

「一人逃げた」

「一人だけですか?」

「ああ、一人はもう一人に置き去りにされて…いや、正確に言うと一人がもう一人の足を折って動けないようにして逃げた」

「あなたはどう思いますか?その状況」

「どうって…酷すぎるじゃないか!人として終わってる」

「そうですね。そこには絶対悪が存在しますか?それとも先ほどと同じく…」

「囮を作って逃げた奴が絶対悪に決まってるじゃないか!」

「落ち着いてください。あなたのいる場所で起こっていることは想像で作り上げたものにすぎません。だから、現実には起こっていないのです」

「わかってる!わかってるけど…」

「そうですね。すみません。嫌な思いをさせてしまって。では、戻ってきてください」

「そうするよ」

「しかし、私としては嫌な思いをしていただけて少しホッとしました。言い方が少し悪いかもしれませんが、あの光景を見て、なんとも思わなかった場合、私はここにいれなくなるでしょうし」

「さっきからお前の話を聞いてると、扉の向こうで起こっていることは全部お前が操作してるように聞こえるのだが」

「…。そうですね。私が意図し作り上げているものです」

「どうして、ああゆうものを俺に見せる」

「わたしはあなたを知りたいだけなのです。何に怒り、何を正しいとするのか」

「俺を知ることがお前にどんな利益を与えるんだ」

「知るだけで、知っているだけで利益になるのです」

「一体どういうことだよ。何を言っているか全くわからない」

「そうですね。では、私の顔をよく見てください」

「見るもなにも…。それは…」

「そうです。あなたです。いや、あなたにとってはあなたの顔かもしれませんが、正確には私の顔です」

「いや、だって…」

「困惑するのも無理はないです。簡単に説明するとここは私の心の中の世界であなたは私の心の中を客観的にかつ私の心を持ってして見れる一つの媒体ということです」

「ということは、お前は自分の心の中を見るために俺を作り出し、利用したってことか?」

「そうです。もうバレてしまいましたし、いえ、自分で言ってしまいましたし、時間もきたようです。いやはや、電車の移動時間というのは長いようで何かをしようには短いですね。わかったことは二つだけですが、有意義な時間を過ごすことができました。それでは、もし私が再度ここを訪れた時は一つの協力のほどよろしくお願いしますね」

「おい待てよ!まだ聞きたいこ…」


車内にアナウンスが流れ、ドアが開く。見飽きた、大学最寄りの駅で新たな一歩を踏み出した。

この作品と呼べないかもしれない文章は電車での通学時間で書いたものです。就活が迫り、自分研究に追い込まれた作者が何とかして自分と向き合おうともがいている姿を想像して頂きながら読むのも面白いかもしれませんね

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