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魔力が無くても生きていける!  作者: 睡眠不足
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第二話

東方の開拓地

 国家間の争いから自治州となっている半島である。半島の西側は開拓が進んでおり、開拓都市アレドの東にあるゾラ平原は多くの薬草の群生地となっていることや、北には弱い魔物しかポップしないダンジョンがあるなど駆け出し冒険者にとって最適な環境となっている。半島の東側は荒野が多く、山地には鉱物資源が採掘不可能な深さにあるため開拓が進んでおらず、開拓する旨みがないため開拓がほとんど進んでいない。他の国家の影響を受けにくいことや、開拓地という性質上多くの流れ者が流れ着くことでも有名である。

 

「さて、ギルドにマップを提出して報酬をもらわないとな」

 

 キリエが東方の開拓地を訪れてから、半年以上が経過していた。開拓都市アレドに来た当初は、生活基盤も無く大変であったが、駆け出し冒険者が多い土地であることもあり、何をすればよいかハッキリしていたのはキリエにとっても幸いであった。ギルドに向かい薬草の採取や雑用などの仕事を受けることにより糊口を凌ぐことができた。

 

 また、キリエの装備している腕輪も魔法を使えない自分にとって非常に役立つものであった。発見してから試行錯誤を続けたことにより、異空間に生きている生物意外の物品を収納でき、収納した瞬間の状態が維持され、腐敗も劣化もしないことが解った。魔道具として、魔法の袋が同じような機能があるが収納量のキャパティシは腕輪の方が上であり、一度に腕輪に入れられる量は限られているが、ほぼ無尽蔵に保管が可能である。

 

 街の中心にある冒険者ギルドを目指し歩きは始め、香ばしい匂いを放つ一角うさぎの唐揚げを食べながら歩いていると、視界の隅ではこちらを指差し笑っている男性の姿がおり、二階のベランダからキリエを見て哀れみの目を向ける老婆、井戸端会議をしていた主婦たちの話題は、キリエを馬鹿にする話題に切り替えられわざとキリエに聴かえるように話している。大人たちに影響された子供達が軽い気持ちで痛烈な言葉を投げかけてくる。

 

(半年も言われ続けるともう何も感じなくなったな。半年前にアレドに来た当初はあんなに辛かったのに)

 

 そんなことを考えている間にギルドへと到着し、三つあるカウンターの内馴染みの受付へと向かう。

 

「ダグさん、依頼が完了したので、確認をお願いします」

 

「あいよ、ありがとうなキリエ、この依頼人気がないから依頼を受けてもらって助かった。OK、しっかり、細部までマッピングが済んでるな。これが報酬金だ銀貨35枚だ。あと今回の依頼でFランクに昇格だ。以前にも話したと思うが、冒険者ギルドのランクはS~Gランクまであり依頼の達成による積み重ねでランクが上がり、Dランクまでいけば一人前と認められるんだ。このアレド近郊はあまり稼げないから強い冒険者はBランクが一人とCランクが数人って所だな。」

 

 ダグさんは、マップの記された用紙を確認し、精査を終えてお礼を述べてくれる。

 

 キリエは出された報奨金を受け取り、腕輪を使って収納する。

 

「しかし、お前も変わってるな、隣のカウンターは若い受付嬢達が受付してくれるのに、わざわざおっさんの俺の元へ来るなんてな。俺にそういう趣味は無いし、妻や子だっているんだからな」

 

「俺だってそんな趣味ないですよ。隣のカウンターは人が多いですから、面倒事に巻き込まれやすいんですよ。魔力が無いから受付の女性にすごく心配されますし・・・」

 

「お前も苦労してるな、まあギルドは成果さえ出せば、差別はせんから今後も頑張れよ」

 

 ダグさんに慰めの言葉をもらい、その後疲れていたのもあり、ダグさんに別れを告げて利用している宿屋へと向かった。

 

 宿屋はギルドから南の流民街の入れ口近くにあり、料金は一泊個室でも銅貨15枚と非常に安く。荷物も腕輪に保管できるため、アレドに来てから利用し続けている宿屋でもあった。他の宿屋では、差別から宿泊を断ってくる宿屋もあるため、この宿屋に行き着いたのた。

 

 

 キリエはマッピングの際に発見した古代遺跡のことを思い出し、明日にでも探索のために向かおうと考えそこに眠っているかもしれないお宝に思いを馳せつつ眠りについた。

 

 

 :

 

 

 

 コンコン

 

 ドアがノックされ、一人の女が部屋に入ってきた。腰まで伸びた見事な金髪に健康的な肢体とそして、狐の耳と尻尾を持つ美少女である。まだ幼さが残る顔をほころばせている。彼女の名はフェリナ=レイアーデ、狐の亜人であり、とある事件をきっかけに友人となった女性だ。彼女はアレドの治癒院で働いており、上級治癒術まで使える腕と生来の性格の良さもあり、アレド一の人気者である。 

 

「キリトさん、お久しぶりです。よろしかったらお食事に行きませんか?」

 

 しっぽをふりふりしながら、フェリナが上目遣いで提案つつ、腕を掴みながらドアのほうへとキリエを引っ張っていく。

 

「落ち着いてフェリア、引っ張らなくても行くから離してよ。当たってる、何か柔らかものがあたってるから~」

 

 抵抗儚く、魔力で強化された腕力で拘束されつつ、レストランへとキリエは連行されていった。

 

 

 

 フェリアのお気に入りのレストラン”アストラン”に到着し、子牛のステーキ、ホロホロ鳥の焼き鳥、ツインヘッドマグロのカルパッチョなど注文などの注文を済ませる。三週間近く野宿であったために、ちゃんとした料理は久ぶりであり以前来たときよりはるかに美味に感じる。

 

「お仕事お疲れ様でしたねキリエさん」

 

 食事をしながらフェリアが労いを言ってくれ、その後は他愛のない会話が続いた。ワインのせいで顔が赤いのか妙に色っぽい。

 

「そういえば、フェリアはなんで俺が帰ってきた事にすぐに気づいたんだ?」

 

「ギルドに寄った時にダグさんが教えてくれたんですよ。久しぶりにキリエさんに会えると思ったから急いできちゃいました。」と顔をさらに赤らめながら答えた。

 

 キリエが返事をしようとした瞬間、レストラン内の男性客から同時に殺気を込めた嫉妬の目線がキリエへと降り注ぎ、キリエは慌てて周りを確認した。

 

「フェリアちゃんから離れろ無魔者、いつか絶対に殺してやる」

 

「なんであんな奴がフェリアちゃんと」

 

「月夜ばかりと思うなよ!」

 

「フェリアたん。ハアハア}

 

 憎悪が店内に充満するが、フェリアは気づいた様子もなく食事を続け、キリエは溜息をつきながら、フェリアの目を盗んで投げつけらるナイフやフォークなどを必死で躱していた。途中、フェリアの不用意な言葉により3回ほど死にかけたが、無事に食事を終えることができ、宿屋への帰路についた。

 

 

 :

 

 朝になると、先日発見した遺跡へと向かうため朝早くにアレドを出発し、二日かけて件の遺跡までたどり着いた。鬱蒼と茂った木々に囲まれた崖下に入口が存在し、奥へと続く洞窟は明らかに人の手が加えられている。

 

(幽霊とか出ないよな)

 

 キリエは、慎重に遺跡へと侵入した。途中にはトラップや魔物は存在せず途中奇妙な部屋を何度も見かけたが、遺跡の探索は順調に進み、ついに最奥の部屋へと辿り着いた。ここまでに、めぼしいアイテムは発見できなかったのでキリエは祈りつつドアを開き、部屋の中へと侵入した。

 

 そこには、見たこともにような設備があり、見たこともない文字が書いてあったが、腕輪を通して得た知識により、読むことができた。そこにはこう書かれていたセントバレル軍工廠と。
































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