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魔力が無くても生きていける!  作者: 睡眠不足
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第一話 プロローグ

初めての作品ですが、読んでいただければ嬉しいです。

「ここが大陸の東端か」


 何もない断崖絶壁の上で一人の中肉中背の黒髪の青年が呟いた。手にはマップが持たれており、周辺の詳細な地図が描かれている。持っているだけで自動で周辺の地図が記される便利アイテムであり、ギルドより貸し出された物である。

 

 彼の名前はキリエ=バーンハルト、この世界でも珍しい魔力を全く持たない人間である。このマップ作りも彼にできる仕事であるとギルドから受けた仕事である。3週間かけて仕事を終わらせ、疲労感が彼の人身を襲った。



(なんだろう、無性にさけびたくなってきたな)


「海の、海の馬鹿野郎ぉ~~」


ぴゅ~と風が吹き、虚しさを増大させ恥ずかしさに悶え苦しむ青年に、周りの空気全体が

溜息をついているようであった。


ひとしきり悶えた後、その場を後にし、開拓都市アレドへの帰途についた。



キリエ=バーンハルト、彼は東大陸の中央にある国家であるセントリア王国のバーンハルト子爵家の三男坊として生を受けた。貴族として何不自由なしに生きていた彼の環境が大きく変わったのは、5歳の誕生日に行われた魔力測定の儀式であった。


「バーンハルト子爵、大変申し訳にくのですがキリエ様には魔力が存在しないようです。」


儀式を行っていた司祭がキリエの父におずおずとためらうように言った。


「なにを馬鹿な、我が家にそんな出来損ないが生まれるはずがないだろう。もう一度調べ直せ!」


子爵の怒声をあびせられつつ、何ども儀式は執り行われたが結果は変わらず、数時間後には、キリエを見る父の目は嫌悪に燃えており、母はただ泣き崩れ、兄たちは侮蔑の表情を浮かべていた。


その日から、キリエの生活は大きく変わり、大きかった自分の部屋は屋敷の地下にある小さな一室に移され、身の回りの世話も全て自分でしなければならなくなった。ベットとトイレ、そしてわずかばかりの家具しかない粗末な部屋であり、もう何年も掃除がされていないようであった。


最初はただ泣くだけしかできず、与えられた食材のほとんどを腐らせ、衣服も汚くなるだけであったキリエだが、3ヶ月もするば、自分で身の回りの世話をできるようになっていた。そして、余裕ができてくると

なぜ、両親や周りの環境が大きく変わってしまったのかが不思議になり、食材を運んでくる使用人が来るタイミングに合わせてその事について尋ねてみた。


「なぜ、父上はこのような仕打ちを私に与えるのですか?」


使用人は面倒くさそうに、しかしきっぱりと答えた。


「お前に魔力が無いからさ」



キリエが屋敷の地下に幽閉されてから、3年の月日が流れていた。その間に、家族に会うことはおろか、地下から出ることすら許され無かったが、1年を過ぎた頃からキリエは自分の閉じ込められた地下室を抜け出し、地下の書庫に忍び込むようになっていた。文字は幽閉される前にキリエについていた家庭教師に教えてもらっていたこと、そして監視役の使用人が交代し、彼が友人になり教えてもらうことができたため不自由なく読むことができた。


交代した使用人はハンスという名であり、商家の生まれで父の伝手で子爵家の使用人となったが、人付き合いが下手であり、独り言が多かったため、同僚から気味悪がられており、屋敷にうまく馴染めなかったため、キリエの監視として配置されてあのである。境遇が似ていること、また話し相手がお互いにいないこともあり、キリエとハンスは年齢が15は離れていたが、何もない地下で会話をする中で友人となり、キリエは地下限定ではあったが自由を手に入れることができた。


そして、書庫を調べることで疑問であった魔力が無いことにより、自分が閉じ込められている原因を知ることになった。

その本は『オークでも解る世界の常識』という本であり、様々な世界の常識が記されており、この世界の貴賎の差が魔力を保持しているかであり、魔力を持つ種族から無魔力者が生まれることはありえないと記されていた。魔力さえあれば、家族に戻れるとキリエは信じ、書庫の本を読み続けたが、そのどこにも魔力を手に入れる手段など載っていなかった。


希望を無くし、ボーと書庫の天井を眺めていたキリエだったが書架の上に小さな箱が置かれているのを見つけ、梯子を使うことで手に取り、箱を開けてみるとそこには装飾などほとんどない腕輪が入れられていた。

キリエは吸い寄せられるように、腕に腕輪を装着し、同時に意識を失った。



それから数日、キリエは高熱に犯され続け昏睡状態になっていた。ハンスがつきっきりで看病をしていたが、熱は下がらず、ハンスは子爵にキリエが病に犯された事を伝えた。しかし子爵は「そうか」と答え愛人に与えた家を訪ねに行き、他の家族の反応も非常に薄いものであった。


キリエは彼の幼い脳に大量の情報が送り込まれるのを感じていた。それは多くの人々の記憶であった。会社員、医者、技術者、主婦、投資家、研究者、政治家、軍人など唯唯大量の情報が流れ込まれてきた。キリエの脳は自分を守るために、ある行動に出た。それは脳に備わった機能である忘れることである。送られてくる情報量を少しでも減らそうと、キリエの脳は忘れ続けた。結果、送られてきた情報は激しく虫食い状態にはなったが、脳の破壊という最悪の展開を避けることができたのである。


熱が下がり、キリエは魔力が使えるか試してみたが、案の定自分には魔力が無いことを再確認することになった。キリエは肩を落としたが、すぐに自分の変化に気がついた。自分が知らない知識が自分の脳に刻まれているのである。使えない知識が大半であったが、中には役に立ちそうな知識も幾つかあった。


「キリエ、体は本当に大丈夫なのか?」


じっと考え込んでいるキリエを見ていたハンスが心配して話しかけてきた。


「ありがとう、ハンスさんの看病のおかげで全快したよ」


(結局、父様も母様も来ては来てはくださらなかったんだな)


あらためて、自分が家族にとってどのような存在かを自覚し、キリエはこの地下から抜け出し、外の世界で生きていく事を目標に掲げ、そのための力を成人する15歳までに力を付けることを人知れず目標にした。



7年の年月が流れ、キリエは15歳になっていた。身長も伸び、7年の間にハンスに剣術の基礎を教えてもらい訓練を続けたことにより、地下のため激しい鍛錬はできなかったが、年相応の体力となった。また薬草やモンスターの知識など外の世界で生きていくために必要な知識もできるだけ学んだ。


冒険者の初心者として、生きていくことをハンス伝え、自分が地下から脱走する前に暇ごいをして欲しい彼に頼んだ。ハンスはただ「わかった」と告げ、餞別として銀貨を5枚渡してくれた。そして、キリエとハンスは安物の酒を飲みながら地下での10年間の思い出を語り合った。


ハンスが屋敷の使用人を辞めて半月、新月の晩にキリエは地下から抜け出した。そこからは長年練っていた計画に沿って行動した。冒険者ギルドで登録を済ませ身分証を手に入れると、東域の開拓地行きの飛行船に下働きとして乗り込んだのである。3日後の昼には国境を抜け、完全な自由をキリエは手に入れていた。

キリエは眼下に広がる景色を見て、いかに自分の世界が狭かったかを実感し、これからの冒険に胸を高鳴らせ、自分のささやかな野望の実現に向けて歩き出したことを実感した。



自分の居場所を造り、守という野望を!


豆腐メンタルですので、誹謗中傷は止めて欲しいですが、アドバイスはいただけれれば初心者として助かります。完結目指して頑張っていきますので、もしよろしければ読んでいただければ光栄です。

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