ゾンビ殺し
そしてユリはもう一匹のゾンビに気付かず、髪の毛を纏めて引っ張られていた。それを見て俺はバットを持ち、ゾンビを殴った。だけどそいつは、消滅しなかった。
何!?消滅しない!?今までの奴と何か違うぞ。まあいいや、もう一回ぶっ飛ばせばいいだけだし。何だこいつ、ムカつくな。さっさとぶっ飛ばそ。
「おらぁ!!」
俺はゾンビをもう一回殴った。それからユリは、ゾンビを何度も殴った。そのゾンビは消え消滅しなかった。
「何ですって!」
「…はあ…消えない…」
「何でこいつら消えないんだ」
うぜぇ、うざってぇ。早く死ねよ、てかゾンビって元から死んでね?何言ってんだ俺。
カタカタカタ
ん?誰か来た、誰だ。
「きゃははは」
笑ってる。姿を現したのは、鉄球を回しながら笑っている少女だった。
顔は普通に女子高生的な感じで、可愛らしい顔をしているけど、鉄球回してるし怖そうだな。
「あれれ~、うちの魔王から言われたんだけどぉ、ここに東城カナメ君って人いないぃ?」
俺?
「東城カナメは俺だけど、何か要?」
てか魔王って誰だよ。
「うちの魔王が、東城カナメ君を暇だから連れて来いって言ってたからぁ、迎えに来ましたぁ。あははぁ、来てくれるのぉ?」
何言ってんだこの子。
「初対面の人に言われてもねぇ、魔王って誰ですか?」
「ん?うちの魔王?結構怖くて、冷たい人」
冷たい…。何か怖いな、寒気してきた。
「ああ、その二人も来て貰うよぉ。えっと名前何だっけ、忘れちった。えへへぇ」
「わ、私は、一城ユリよ」
「……私…名前分かんない…」
「はぁ?分かんないの?」
「この子は記憶無くしてるから」
「へぇ、そうなんだ。まあいいから来てよ、三人で来ればいい話じゃぁん。ね、そうでしょ。ねえ、そこのお姉さん二人ぃ」
「行けばいい話よね、良いわ行きましょう」
「………私…行きたく…ない…。…前にもそんなことが…あった……」
「別にいいじゃん、行っちゃえばいいじゃん。べつにうちの魔王様殺す訳じゃないしぃ、多分」
益々怖い…。
「…分かりました……行きます…」
「じゃっ行こ行こぉ」
図書室から俺達は出た。
「君達、もう攻撃しないでいいよ。これからうちの魔王のところに連れてくから」
「うおぉ」
凄ぇ、ゾンビが返事した。てかこいつら返事するんだ。
「よ~し、偉い子だ」
廊下を歩いて行く。向かった先は校長室だった。ん、何で校長室…。
「到着ぅ」
「てか何で、校長室なの?」
「だって魔王こん中にいるんだも~ん」
ガラガラガラ
「失礼しま~す」
「てめぇ、おせぇじゃねぇか。危うく俺が行くところだったぜ」
「ごめんなさ~い、許して♡魔王」
「は?許す訳ねぇだろ、てめぇなんか」
「もう、酷いなぁ、魔王はぁ」
「ま、そんな話は置いといて、お前らが東城カナメ君達だな?」
「は、はい」
「ふ~ん、思ったより弱そうだな」
「ど、どうも」
「…あなたが…魔王……ですね…?」
「あ?何かてめぇ、会ったことあるような顔してんな」
「……実は私も…会ったことある……ような顔をしている……魔王様だと思い…ました」
「最初はどこにいたの、君」
あれ、今度は君になった。この魔王様、変わるな…。
「……私は…昇降口の目の前で……立っていました。……それより前の記憶は……残念ながら…覚えて…いません……」
「あっそ、覚えてないんだ。まあ、俺は覚えてるけどね」
「あれぇ、魔王また企んでんの?」
「別に企んでねぇし」
「うっそ、企んでるように見っえるけどぉ?うちの勘違い?」
「そうじゃね?大丈夫、企んでねぇよ」
俺も企んでるように見えたんだけどな…。何かこの人見た目怖そうだし、喋っても怖いし…。
「…その話は置いときまして……………なぜ私達を…こんなところに…連れ込んだのですか…?」
「それはなぁ、決まってんじゃねぇかよ。お前らがターゲットなんだよ、簡単に言えば殺されるっての?」
「えっ?殺す…?」
「鉄球持ってる少女」
「ん?」
「殺さないって言ってなかったっけ」
「だ~か~ら~、うち言ったじゃん。多分って」
そう言えば言ってたな。
「闘えばいいじゃん、闘えば」
「そうだよ、闘っちゃえば済む話じゃねぇか」
「分かりました、闘います」
「いい度胸だなぁ、気に入った」
この人強そう。
「うちの魔王、強いよ。気を付けた方がいいよ。魔王、手加減してあげて」
「は?する訳ねぇじゃん」
「もう、手加減しない魔王だね~☆」
「うっせーよ、黙れ。てめぇも消してやろうか?」
「や~め~て~よ~♪」
「ちょっと移動すんぞ。俺の方に掴まれ、皆」
凄ぇ、移動してる。瞬間移動だ。
「わぁお、いつもみたいに飛んでるぅ」
「だから黙れよ」
「いつもこうゆう風に、飛んでるんすか?」
「そうだが、何か?」
「いや、別に」
「あっそ、そろそろ着くぞ」
「わあ、やっと着いた。遠っ」
魔王の屋敷
「ここは…?」
「ここは俺達の屋敷の、戦闘リングだ。ここで何千人もの、死者が出たんだ」
「そうだよ、死者いっぱい出たんだからぁ。魔王が悪魔みたいに、えぐく殺したんだ」
「さあ、始めよう」