キャラクターメイキング
ようやく主人公登場
名前は適当だったりする・・・
・・・寝坊した。
矢野原 瑠璃は1月の今の時期大半の人類が寄生同然にへばりついて離れない布団を意図も簡単に手放した。
彼女には今日だけは安心と信頼の羽毛布団にすら行動を邪魔されない理由があった。
「間に合うかしら・・・」
そう独り言を呟きながらPCを起動して目的のサイトに接続する。
そして昨日まで何度見ても『準備中』と書かれていた場所に目を移す…
そこにはいかにもな存在感をかもし出しながら『ダウンロード』というボタンがあった。
『Hermetic Art Online』はもうすでに稼動を始めていた。
「やっぱり寝坊した・・・」
瑠璃は自分の生活リズムの悪さを呪いながらもボタンをクリックしファイルをダウンロード、その後インストールをして早速ダブルクリックで起動。
そこで下の階から叔母の朝食の催促の声が聞こえてきた。
正直朝食なんかどうでもいいが行かないと叔母がうるさそうなので行かねばならないだろう。
まぁ、せめての抵抗というわけではないがキャラメイキングだけは済ましていこうと思う・・・
・・・朝食の催促が優しい声から怒鳴り声に変わりだした頃、
ようやく自分のキャラクターが完成し満足した瑠璃は「はいはい」とあいずちをうちながら階段を下り、朝食を食べに向かった。
ただ、ありつく前に祖母から強烈なゲンコツを食らった話はまた別の話。
―――30分後
散々怒られつつも朝食を食べ終わり、改めて自分の作成したキャラクターを眺める瑠璃…
何よりも気に入ってるのは腰よりも長く美しい光沢のある黒髪だ。
瑠璃自身は水泳をやっているため、髪の色素が落ちてしまい茶髪になっているのだ。
それに邪魔になるため短く切っている。
彼女にとって長い黒髪は憧れの対象だったのだ。
ただ悔やまれるのは頭部以外の身体特徴が全く弄れない事であった。
理由としてはいわゆる仮想現実世界ではその世界のキャラクターが自分自身なのである。
そのキャラクターと現実の体の身体特徴を大きく変化させてしまうと
体の軸、重心、目線、リーチなどなど色々なギャップに悩まされゲームどころの騒ぎではなくなってしまう。
そのおかげでVR稼動初期の頃は、慣れない胸の重さと長髪に振り回されてフィールドにバタバタ倒れるネカマが草原を埋め尽くしていたのはVRを初期から愛用している者たちの笑い話だったりする。
今では一部のとんでもないツワモノネカマ以外は男性は男性キャラ、女性は女性キャラを使用するのが当たり前になっている。
瑠璃の場合、折角なら身長をもう少し高くして、胸を大きくしたお姉さんキャラでプレイしたかったのだが
精々140cmあるかないかの体の大きさのつるぺったんな胸からそんなことをすると初期のネカマ状態に陥るのは目に見えているだけだ。
最悪身に覚えも無い理由で社会的に抹殺される可能性もある。
このネット社会、本名ではないアカウント名だからといって気を抜いているととんでもない目に合う事は今では小学生でも知っていることである。
そのため、体つきはわざわざ現実の体を計測したくらいである。
これで不備がある様ならその時はゲーム会社に電話を入れるときであろう・・・
「顔もあんまり変えれなかった・・・」
瑠璃はそう嘆いた。
最初はせめて顔だけでも大人びた顔にしようと奮発したのだが
完成してみると頭部は大人体は幼女と、アンバランスすぎて違和感を覚えてしまったのだ。
そのため瑠璃は泣く泣く現実の自分に近い童顔の顔に変更したのだ。
せめてもの雰囲気として鼻は少し高めで唇は薄く、眉を細めに変更した。
完成してみるとまさしく天使のような幼女・・・もとい美少女が画面の向こう側に佇んでいた。
「いっそのことゲーム内では羽のアクセサリを付けて天使ごっこやろうかしら?」
なんて馬鹿なことを本気で考えてしまうくらいである。
「っと、ただでさえ待ち合わせに遅れてるのに何を私は・・・」
ただでさえ後アカウント名を登録しなくてはいけないのである。ボーっとしている暇は無い。
アカウント名は名前の瑠璃から『ラピス』を選択。
次に行こうとすると
『アカウント名が重複しています。変更して下さい。』
と言われてしまう。
予想外の出来事に瑠璃は困惑する。
本当は朝食前にはアカウントの登録が終わっていたはずなのだ。それなら恐らく間に合っていただろう
そう、寝坊さえしていなければ・・・
再度自分の生活リズムの悪さを呪いながらも瑠璃は思案する。
「ラピスが駄目ならラピスラズリのラズリを使う?でも変よね・・・」
名前が駄目なら苗字はどうだろう・・・と考え矢野原を色々と思案してみる。
「矢はアロー・・・野原はフィールド・・・どう弄るっているの?」
流石に女性キャラにアローは変だしフィールドなんていう名前は以ての外だ。
「やっぱり瑠璃からよね・・・」
苗字案はさっさと廃案にして再度名前つながりから考えてみることにする。
「瑠璃は青・・・青はブルー・・・どっちかと言うと水色って感じがするしライトブルーかしらね・・・」
しばらく考えて結局彼女が選んだ名前は『ラズリ』
「・・・結局こうなるのね」
自分のネーミングセンスの無さに落胆する瑠璃である。
アカウントの登録が終わったので彼女はパソコンに接続しているVRダイバーを被った。
このフルフェイスヘルメットのような代物がVRの情報を送受信する機械で、名前をバーチャルダイバーという。
瑠璃はもう少し凝った名前には出来ないのかと思ったが、自分のアカウント名も似たようなものなので言えた筋ではないというのも同時に感じた。
そのままバイザーを降ろしパソコンからゲームを起動、アカウントを選択し『ダイブ』のをクリック
次の瞬間、『瑠璃』は『ラズリ』になりゲームの世界に放り込まれていった・・・
物語はゲーム内スタートだと思った?残念、キャラメイキングからでしたw
次回からはゲーム内です。嘘じゃないですよ?
追記:更新が滞ってるのはデフォでs(殴
失踪はしてないのでお許しを・・・
さらに追記:いまのままでは矛盾を生むことを発見してしまったのでプロットを再構成中・・・遅れてスマソ