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罰ゲームの行方は?

作者: THEきよしα

 誤字・脱字・文法上の間違いがありましたらご連絡ください。また、作品に対する意見・批評をくださるとありがたいです。


 よろしくお願いします。

 正樹(まさき)は悩んでいた。この勝負に負けると、正樹の五連敗であり、罰ゲームを受けることになる。


(右が正解か?いや、先ほどから二連続で右はジョーカーだった。ここは、意表をついてまた右にジョーカーか。ならば……)


「どうしたのかな〜?はやく選んでほしいな〜」


 目の前に座っている、友人の信行(のぶゆき)が意地悪い笑みを浮かべながら話しかけてくる。


「うるさい! こっちが正解だ!」

そう言いながら、正樹は自分から見て左側のカードを引いた。

(クッ、素直にいけば!)


そこにあったのは既に見慣れた、ジョーカーだった。


「正樹がまた引いたのか。もしかして、お前ジョーカーに愛されてんじゃね?」

「ほんとかもねぇ。運命的な出会いだよ。」

「はははっ、これで罰ゲームは決定かな?」


 周りに座っている、先にあがった隆(たかし)、朋子ともこ香織かおりの三人が口々に囃し立てる。


 彼ら五名は同じクラスの友人同士であり、放課後にクラスに残ってババ抜きをしていた。しかも、先に五連敗した人が罰ゲームを受けるというものだ。ちなみに、罰ゲームを提案したのは正樹である。


「ストレートで負けてたまるかっ」


 正樹はカードを周囲の四人から隠しながら、シャッフルをしていた。目下、五戦四敗であり、五敗目にも王手をかけている状況である。


(このまま、罰ゲームを四人に決めさせるのはマズイ)


 高校二年間の罰ゲームの数々を思い出し、正樹は心が冷えた。特に、小学校からの幼馴染みである信行とは様々なことをお互いにやっている。例えば、一週間学校にいる間はオカマ口調でいること、などだ。


「ほ〜ら、カードを出しなよ。正樹く〜ん。罰ゲームは何がいいかなぁ〜」


 信行が勝ち誇った顔をしながら、からかってくる。それを睨み付けながら、正樹は懸命に勝つ方法を、なぜにストレート負けしているかを考えた。


(この五戦目までは、オレは二枚残った相手の手札からジョーカーを引き、相手は正解を一発で抜き取っている。なんでなんだ? 今までは、左前方にいる香織と左隣にいる隆に易々と正解を引かれ負けた。しかも、隆には三敗している。

だが、右隣に座っている信行とは接戦だ……あれ、まさか)


「なぁ、隆。場所を替わってくれないか?」

「席が変わっても、勝負に変わりはねぇぜ、正樹。」


 信行が何か言ってくるが、今回は場所が大切なのだ。勝ち筋のためには絶対に譲れない。


「わかってないなぁ、信行は。オレに三回勝った隆の場所だぜ。ご利益があるんだよ。いいだろ?」


「確かに四連敗している場所よりましかもね」

「そうだな。代わってやるよ」


 『オレに三回勝った隆の場所』を強調したら、香織と隆は察したらしい。ニヤニヤしながら相槌を打ってきた。


(ヨッシャー! これで、ジョーカーを引かせればオレの勝ちだ!)


 席を移動した正樹は、自信たっぷりに二枚のカードを左手で持った。信行は少し迷ってからカードを一枚引き抜く。引き抜いたカードを見ると、信行の表情は苦いものへと変化した。


 それでも、まだ信行には余裕がある。なぜなら、この勝負に負けても罰ゲームはないし、時間的にもこれがラストゲームだからだ。


 そして、真に追い込まれているはずの正樹のほうへ、シャッフルした運命の二枚のカードを右手で持ち、差し向けた。 その行動を正樹は、勝利にはやる気持ちを抑えつつ見ていた。


「早くとれよ。ラストゲームだし、オレの勝利で飾りたいからな。」

「残念。オレの勝ちだ。」


 そう言いながら、正樹はあっさりと一枚のカードを引き抜く。信行の手元には、53枚目にあたる孤独な道化師のカードが残っていた。




「良かったね。罰ゲームを避けられて。」

「クソッ。最後は随分とあっさり引きやがって、どうしてわかってたんだ?」


 笑いながら朋子と信行が正樹に話しかけてくる。


「簡単なことだな。あれが隆と香織、そしてオレの秘密兵器だ」 正樹が指さした先には棚があり、その上に鏡が置いてある。場所的には、信行の座っていた椅子の後ろ側だ。


「まさか、鏡で絵柄を見たのか?そんなのありかよ」

「有りだ」

「有りかな」

「有りに決まってる」


 信行の言葉に鏡を使った三名が反応する。正樹にとっては、ピンチを招いた厄介者でもあるが。


「と言っても体が邪魔して、あまり使えなかったんだがな」

「うーん。偶然にも鏡があるんだし、なら、いいのかなぁ」


 朋子も悩みながらも容認したことで、信行の負けが決定し、本日の罰ゲームは無しになった。そして、正樹は無事にお開きを迎えることができたのだった。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「それにしても、あんなとこに鏡なんてあったか? 昨日まで確実に無かったぜ」


 帰り道、家が近いので途中まで一緒の信行に、疑問に思ったことを話す正樹。


「確かになかったよな〜。もしかして、隆のやつが置いたんじゃないか?」


「もし、そうだったらアイツに罰として何かやらせよう」

「そうだな。明日、確かめるか」


 ニヤリと二人は笑いあい、罰ゲームの内容を話し合いながら、夕暮れの道を進んでいくのだった。




 翌日から、一週間ほど、学校内にある男が現れた。その男は語尾に『ニャ』をつけており、「鏡はすまなかったニャ。だが、諦めないニャ。次はバレないようもっと上手くやるニャ」と言ってるそうだ。

 拙い文章を読んでくださり、ありがとうございました。さらに良い文とするために、精進します。

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