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存在した朝に
医療は、進歩していない。
そう思いながら、
モニターを見ている。
平均寿命は伸びた。
治せる病気も増えた。
それでも、人間は二百歳まで生きられない。
最高齢の記録も、もう二十年近く更新されていない。
画面には、診断名と推奨治療が並んでいる。
どれも正しくて、どれも合理的だ。
結局、
人は病からは逃れられない。
この夜、
虫垂炎で手術を受けた人がいる。
無事に終わって、朝を待っている。
ロボットと一緒にリハビリをしていた人もいる。
思うように動かない体に腹を立てながら、
それでも明日を迎えようとしている。
ロボットをメンテナンスしていた人もいる。
医療を支える側でも、
同じように病気になる。
そして、
この夜を越えられなかった人もいる。
静かな病室で、見取りの時間を迎えた。
モニターを見ながら、
そんなことを考える。
みんな、同じ夜を生きていた。
それぞれの立場で、
それぞれの一日を生きていた。
診断も治療方針も、AIが出す。
医療は確かに進歩した。
それでも最後に承認するのは人間で、
その結果を引き受けるのも人間だ。
夜の病院は静かだ。
機械の音だけが、時間を刻んでいる。
東の空が、少しずつ白んでくる。
また、
いつもの朝が来る。
今日も承認や。
画面を見つめながら、
そう思う。
……帰りたい。




