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ロボットは治る

医療は進歩した。


医療者は、減らされたらしい。

効率化の結果だと説明されていた。


ただ、

ロボットのメンテナンスをする仕事は増えた。


今日は、

三病院を回る必要がある。


夜のメンテナンス室は、

病室よりも静かだ。


患者はいない。

家族もいない。

説明も、同意もいらない。


いるのは、

止まったロボットだけだ。


私は、

AIロボットの整備をしている。


医療ロボット。

看護ロボット。

リハビリロボット。


猿型も、

猫型も、

全部同じ規格でできている。


夜にやる理由は、

一つだけだ。


止めても、

誰も困らない時間だから。


昼間は、

彼らは忙しい。


患者を運び、

声をかけ、

動きを補助し、

数字を集める。


だから夜に、

人間が彼らを治す。


一病院目。


夜勤明けの病院で、

猫型が二台止まっている。


発話のタイミングが、

わずかにずれていた。


致命的ではない。

だから、

夜に回された。


電源を落とす。


さっきまで

「大丈夫ですニャー」

と言っていたものが、

ただの機械になる。


ログを見る。


応答遅延。

音声テンポ誤差。


どれも、

想定内だ。


部品を替える。

設定を戻す。


それだけで、

元に戻る。


二病院目。


救急を扱う病院だ。


猿型が一台、

リハビリ室の隅に置かれている。


関節の摩耗。


昼間は、

誰かの前で

大きく腕を振っていたはずの機体だ。


電源を落とす。


さっきまで

「順調ですウッキー」

と言っていたものが、

ただの機械になる。


可動域を確認する。


少しだけ、

引っかかる。


交換。


調整が終わると、

関節がなめらかに動いた。


さっきまでの引っかかりは、

もうない。


自由に動く。


ログに記録する。


正常動作。


今日は、

三病院を回る必要がある。


あと、

一病院だ。


医療は進歩した。


ロボットは治る。

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