襲撃
荷馬車がガタガタと揺れる。
ドラゴンの討伐だけあってかなりの人数の冒険者が現地に向かっていた。
バリスタまで積んできているのを見ると、今回の戦いの力の入れようがわかる。
そして、今回は有名な魔剣使いが来ていると周りの冒険者の会話で聞いた。
名前は「コバヤシ」というらしい。
「たしか・・・一人目の転生者がそんな名前だったような・・・」
襲撃は突然だった。
ゴブリン達の襲撃。
森に入った時、荷馬車に食べ物があることに気づいた奴らにつけられていたのだ。
「いくぞ!」
冒険者達は荷馬車を飛び出し、戦いが始まった。
昼だったが、森は薄暗くゴブリンにとって有利なフィールドだ。
この状況でやるべきことはゴブリン達の頭目、リーダーを殺すこと。
皆戦いに慣れている上級クラスばかりだったが、その中でも明らかに強い冒険者がいた。
「スラ子!お前は群れを蹴散らせ!俺は敵の頭目をたたく!」
「わっ!わかった!」
周りの冒険者はざわつく。
「あれが魔剣使い、コバヤシか・・・!」
森の中で四方を囲まれ攻撃されている状況だった。
ゴブリンは一匹一匹は弱いが、群れともなると魔獣よりタチが悪い。
群れが大きいと洞窟や森などに居を構え地形を利用しながら波状攻撃をしてくることがある。今回はそのパターンだった。
「カイト!僕らは少しでもゴブリンを減らそう!」
「わかった!」
カイトは一撃でゴブリンを倒していく。
一匹一匹は弱い・・・!これなら・・・!
調子にのって戦っていると、ゴブリンに囲まれている。気づいたときには手遅れだった。
いくら雑魚でも何回も武器で殴られれば危険だ。
「カイト・・・!前に出すぎだよ!」
「うわっ・・・!?」
後ろからこん棒で殴られる。
・・・?
ダメージは受けなかった。
周りのゴブリンもそれを見て一斉に攻撃を仕掛けてくるが、まったく通じない。
驚いてたじろぐゴブリンを倒していく。
「もしかしてレベル、思ったより高いみたい・・・」
「そうみたいだね・・・」
チャモロさんも思わず呆気にとられたようだった。