不思議なパーティ
先ほどのタレスとのやり取りのあとカイトは簡単な依頼を探していると、
「あなた、気づいてないみたいね」
「・・・?」
変なことをエヴァが言ってきた。
それに続いてチャモロさんも口にする。
「そうだね。試しに中級クラスの依頼を受けてみたらどうかな?君すごく強くなっていると思うよ」
「え・・・?俺、荷物持ちしかしたことないけど・・・」
この異世界では戦うたびにエクスキューショナーポイントがたまり、強くなる。
しかしそれは魔物などを殺さないと手に入らないはずだ。
気づいていないんだね。とチャモロさんはレベルがすごく上がった、と教えてくれる。
その理由はサキュバスであるエヴァを倒したかららしい。
「なんでダメージを君が与えられたか分からないけど、エヴァちゃんに君は致命傷を与えていたんだよ」
「・・・そうよ!いま知ったわけ!?」
あきれた・・・。と言うと続けてエヴァが説明してくれた。
彼女はクイーンサキュバスと言う上位のサキュバスだという事、通常の攻撃では倒せないということも。
「もしかして・・・エヴァってすごく強い・・・?」
「舐めないでよね。負けたのは今回が初めてよ。そもそもあなた、なにか知ってるでしょ」
「えーと・・・サキュバス特攻っていうチートがあるって言われました・・・」
ガックリとエヴァは落ち込む。カイトから魔力を取り戻すことが出来ないと完全に理解したからだ。
「はあっ・・・」
ため息をつくと彼女はやけくそ気味に口にした。
「こうなったら・・・!意地でも魔力、取り戻して見せる・・・!」
チャモロさんに言われるままにカイトは魔獣の討伐に行くことにした。
魔獣を倒すのは初めてだったが、こちらも三人。
チャモロさんもエヴァもレベルが下がっただけで倒すには問題ないと言ってくれた。
群れでいたら危険だがよくて相手は3,4匹くらいだろう。
フィールド・・・街道沿いの魔獣の討伐が新人の登竜門であることはチャモロさんが教えてくれた。
「さて、そろそろだね」
「絡み付け・・・スネア・・・!」
魔獣は3匹ほど。
チャモロさんはスネア・・・泥を絡ませる魔術を行使する。
足をすくわれた魔獣は動きが止まる。
「いまだよ!カイト!」
「うおおおっ!」
剣を魔獣に振り下ろす。
風圧とともに、自分の想定しないダメージを魔獣に与えた。首が一撃で両断される。
「一撃で・・・倒した・・・!?」
「ほら、次が来るわよ」
・・・エヴァはやる気がないようだ。正確にはこんな雑魚に興味がない、という感じだ。
「ここは僕に任せて!・・・エアロ・・・!」
残り2匹の魔獣は風の魔術で切り刻まれ、散るように逃げていく。
さすがは元々強いだけあり、頼りになる。
「レベルが下がっただけで、覚えている魔術の引き出しの多さでカバーすればいいからね」とチャモロさんは言う。
「せいぜい頑張りなさい。こんな雑魚わたしが出る幕ではないわ」
冒険者ギルドに報告に戻る。
「依頼、確認しました」
このパーティを組んでから数日、大分戦闘にも慣れてきた。
あれよあれよと中級クラスになりその昇級のスピードからギルドから期待されているのがわかる。
「カイト様、只今一斉討伐の依頼をギルドから出しております。火山地帯でドラゴン種が確認されました」
ドラゴンは普段火山の最奥でおとなしくしているのだが、稀に火山から出て、周辺の村や国を襲撃することがあるらしい。
「わかりました。行きます!」
「大物だね・・・!」
「ありがとうございます。では冒険者様、お気をつけて」