新たなパーティ
「責任、とってよね?」
サキュバスのエヴァはそういった。
見たところ相当頭にきているようだ。
「勘弁してよ・・・」
カイトは不運に頭を悩ませる。
「こっちのセリフよ!あなたはレベルが大分上がったからいいけど、こっちはすべてのレベルを失ったのよ?」
彼女は俺の魔力をどうしても取り戻したいらしい。
無理矢理にパーティを組むことになった。
「不運だね」とチャモロさんは笑っている。
チャモロさんもエヴァもレベル1だ。それが理由だろうか。
チャモロさんは一緒にパーティを組まないか?と聞いてきた。
深刻なレベルダウンが起こった以上いままで通りチャモロの位である上級にはいられないのだろう。
「よろしくお願いします」
「うん!よろしく!」
「わたしは言わなくていいわよ。不快になるから」
冒険者ギルドに報告に戻る。受付に話すと、
「依頼、達成しました」
「はい・・・?カイトさんは死んだ、と聞いたのですが」
冒険者タレスの報告では俺は死んだことになっているらしい。
正直、腹がたったが丁度縁を切るにはいいタイミングかもしれない。
「虚偽の報告だったのですね。なにかタレスさんに伝えておきますか?」
「いいです。新しいパーティで組みますので」
そう言った時だった。
「お!カイト!心配したぜ?」
後ろからタレスが声をかけてきた。
「俺は死んでない!」
「急に姿が消えたから心配したぜ。生きててよかったな!」
むっとした。死んだなんて報告しておいて、なんて白々しい。
受付がタレスに声をかける。
「どういうことですか?」
「いや、遺跡が入り組んでて迷ってしまって・・・生きてるとは思わなかったんです」
エレナも口裏を合わせるように言う。
「・・・君たちは性格が悪いね。受付さん、僕のパーティーは僕1人を残して全滅しました。そしてタレスは彼を囮にして逃げました。きっと彼がいなかったら死んでいました」
チャモロがそういうと気まずそうに言った。
「・・・悪かった。どうだ?きっちり今までの事を謝るからまたパーティを組まないか?」
「俺はもう荷物持ちはごめんだ。それにもう俺は今までの弱い俺じゃない!」
「そうかよ。せっかく声をかけてやったのに後悔するなよ」
そう捨て台詞を吐くとタレス達はクエストに出かけていった。
そうして、サキュバスと魔術師と少し気弱な冒険者の冒険が始まる。