共闘
「ふーん。まだ生きてたんだ」
サキュバスは余裕そうに口にする。
状況は二対一だけど、そもそも剣は訓練以外でまともに振るったことはない。できると思っていたのは思い込みに近いことを実感する。
「まあでも、そうね。こっちのほうが美味しそうだしあなたは見逃してあげる。どうせ私にダメージを与えることが出来る武器もスキルもなさそうだしね」
チャモロを視界から外す。
まあ、そうだろう。この種族に搦め手は通用しないしこの場に強い白魔術師はいない。
だけど、チャモロは何処か違和感をこの冒険者に覚えていた。
「君!この子に目を合わせてはだめだよ。魅了をかけられたらマトモに動けなくなる」
「え・・・?」
「もう手遅れ・・・。ふふっ。あなたもわたしのモノ、遊びましょう・・・」
何を言っているのだろう・・・?
「どうしたのかしら。まさか、魔眼が効いてない・・・!?」
「動きが止まった・・・!チャンスかも!」
カイトはその瞬間に駆ける。
どうせ食らっても死ぬことはないし、こんな普通の冒険者に負けるなんてありえない。
彼女は油断した。
「うおおおお!」
全力で切りつける。・・・血を浴びるのを覚悟したが妙な感触がした。
彼女の纏う紫色の光・・・魔力じたいに切りつけたような感覚だ。
「痛ったあ・・・!?何よこれ!?」
彼女はステータスが激減したのを確認する。
レベルダウン・・・!?
「何がおきたんだ!?」
目の前のサキュバスから放出される魔力が激減する。
「君、何者なの?」
驚いてチャモロが言った。こっちが聞きたいくらいだ。
「カイト、だけど・・・」
カイトは魔力が体の内側から増大していくのを体感する。
「うそでしょ!?わたしの魔力が・・・」
______サキュバス特攻、これがどれだけ希少なチートかわかっていない。・・・コトミネさんの言葉を思い出す。
「わたしの魔力がまた集まるまで責任取ってもらうから・・・!」
彼女はやけくそに俺とパーティを組むと言い出した。
「そんな・・・俺のせいなのか・・・」
彼女はエヴァと名乗った。