水の精霊、ウィンディーネ
「到着しました。冒険者様」
「ありがとう!ではここで待っていてください」
カイトはぎょしゃにそういうと、馬車から降りる。
入口からでも分かるくらい鬱蒼とした森だ。
ここは淫魔の森、といわれるらしい。
危険な魔物が多いがその分貴重な素材が多く手に入るとチャモロさんは言った。
「視界が悪いから、僕が先頭に立って感知の魔術で周りを確認しながら行くよ」
「まあ、任せるわ」
「はい」
3人は周りに注意しながら森の奥に進んでいく。
暗くてジメジメしたこの地形は魔物にとっておあつらえ向きだ。
急な不意打ちをされてもおかしくない。
がさがさと草をかき分けながら森の奥地へ進んでいく。
この森の奥には話によると不思議な泉がありそこにウィンディーネが住んでいる、と聞いていた。
「妙だね。・・・道がない」
・・・?
チャモロさんが不意に口にする。
確かに同じところをぐるぐると歩いている・・・そんな気がしていた。
「ふうん・・・この森、特殊な気配がするわ。結界に近いかもね」
なんとなく皆、そう思い始めたのも事実だ。
だけど不安になるのが嫌でカイトは口に出せなかった。
なんとなく察したチャモロさんが「大丈夫なんとかなるさ」と俺に言ってくれた。
「わっ!エルンデルベ様!人間が森にいるよ!」
「どうしよう・・・!3人もいるよ!」
スライム達は慌てた様子でエルンデルベに報告する。
この森はスライム族の住処だ。
彼女らはそれほど強くない、数はそれなりにいるが臆病で穏やかな魔物なのだ。
「大丈夫です。この森は人間では道がわかりません、しかし・・・」
エルンデルベが魔術でカイトを視認する。
「ここにいままで来た冒険者たちとは少し違いそうですね」
「助けるの?エルンデルベ様!」
「わっ!危険だよ!」
「大丈夫ですよ。危険な気配はしませんし」
優しく、諭すようにスライム族に言うとエルンデルベは道を教えてあげることにした。
「一応、隠れていなさい。すぐに戻ります」




