教会にて
「こ、こんにちは・・・」
「神の家へようこそ。カイト」
それは黒い神父服を着た、優しそうな男性だった。
教会に似合った服だ。
一面に白い壁、ガラスには十字架の模様が描かれている。
ここ、教会の内部は悪魔・・・例えばサキュバスなどの強力な悪魔を退ける様式になっているらしい。
「君がサキュバス特攻をもつ転生者か」
「はい。ところでサキュバスってそこまで強いのでしょうか?全然そんなイメージがなくて・・・」
その神父は緊張感を与えないように言った。
「我々、代行人ならともかく。サキュバスは強い白魔術による攻撃が必要だ」
「はあ」
「君はそのチートの希少さに気づいていない。なので簡単にやられないようにここで鍛錬をしてもらう」
笑顔でさも優しそうに語りかけているが、正直嫌な予感がした。
この神父はコトミネ、と名乗った。
そしてまずは体作りから、と訓練を開始する。
初日からそうだったが、正直・・・。
「きっつううう!」
腕立て、腹筋・・・重いものを上げたり下げたり・・・。
かなりきつい。
「現代人の転生者は思ったより細身だな」
コトミネは皮肉を口にしながらハードな訓練を次から次にさせてくる。
こんなことを始めておそらく7日程。
そもそもこの世界は空気環境・・・いわゆるマナと言われるものが多いせいか身体能力の基準が違うようだった。あとは慣れるしかないだろう、ということだった。
「君の転生する前の世界はマナが少なかったようだな。こことはどれ程常識が違うのか」
そして訓練に慣れ始めたころ、コトミネに呼び出された。
「戦闘訓練、体作りはこんなものだろう、あとは実戦だけだ」
「はい」
コトミネさんは俺にそういうと白い刀身の剣を渡す。白魔術の強く込められた魔法武器らしい。
「冒険者ギルドにはもう登録はしてある。冒険者パーティの募集はそこで自分で決めることだ」
「ありがとうございます」
カイトは礼を言うと、冒険者ギルドに向かうことにした。
_____心臓が高鳴る。これから俺の冒険が始まるのだ。ゲームに飛び込んだ気分だった。
それと同時にカイトは現実を思い知ることになるとは全く想像していなかった。