ギルド、コロッセウム
その日は普段より冒険者ギルドが活気に満ちていた。
チャモロさんの話によると、ギルド主催で御前試合のような催し物があるようだ。
興味があったが、冒険者ギルドにきている参加者希望のガッチリした体格のいい彼らをみていると引けごしになってしまう。
「試しに出てみたら?いい線行くかもしれないし」
チャモロさんはからかう様にそう言うが、まんざらでもないのも事実だった。
最近依頼をこなしているうちに、わかったことは自分が思ったよりも強くなっていたこと。
現に魔物からの魔法攻撃は大したダメージにならないし、大抵の魔物は1撃で倒せるくらいになっていた。
「よお。カイト」
後ろから見知った声がした。
「お前は・・・!」
それはタレスだった。
相変わらず性格の悪そうな顔でこちらを見る。
どうやらタレスは御前試合に出るらしい。
「お前もでるんだろ?期待のエリートさんよ」
「冷やかしにきたのかい?カイトから聞いた以上に性格は悪そうだね」
チャモロさんが代わりにいい返事をしてくれた。正直、助かる。
「俺・・・!出るよ。お前も出るなら覚悟しろよ・・・!」
「それはいい!楽しみにしてるぜ!恥をかかせてやるよ・・・!」
タレスの嫌味を聞いたあと、冒険者ギルドの受付に御前試合の参加をする手続きする。
「かしこまりました。参加、ありがとうございます」
この大会で優勝すると賞金がでるらしい。
・・・周りからそれとなく、視線を感じる。
「あんな体格もなさそうな冒険者じゃすぐに負けるな」とからかう声もした。
ただ、チャモロさんだけは鼓舞するように声をかけてくれた。
「応援するよ!カイト君!」
「ありがとう!ところでエヴァは?」
「僕らの貰った報酬で・・・酒を飲んでるみたいだね」
苦笑いしながらチャモロさんは教えてくれた。正直エヴァがいたおかげで被害がゼロになったのも事実なので文句は言えないだろう。
受付時間も終わり、御前試合が始まる。
この国にはコロッセウム、と呼ばれる専用の施設がある。
この国の王、ギルガメッシュ王の趣味だそうだ。
けが人が出てもいいように医師団も準備されている。
参加者たちにギルガメッシュ王は演説をする。
「参加、感謝する!皆自らの力を我に示してみよ!勝者には栄光と賞金が与えられる!楽しみにしているぞ!」
「おおーーー!」
コロッセウムが沸き立つ。
______ドキドキする。どこまでいけるか分からないけど。
カイトは緊張した面持ちで皆と同じように声を上げた。