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(四)
「作戦終了、各部隊、直ちに撤収せよ」
インカムのレシーバーは司令部からの無線をそう伝えていたが、俺はまったく気づかなかった。
もともとこの作戦は特殊部隊からの脱走兵エイブラハム・アイアンズ曹長を逮捕することだ。殺すことではない。
もちろん殺せと言われればいくらでも殺すチャンスはあったのかもしれない。しかし、わざわざこの演習場まで誘導したのだから、殺すのではなく、きちんと逮捕してやりたかった。
個人的には、俺の左頬を殴って気を失わせるほどいい拳を持ったヤツを、例え外国人であろうとも殺したくはなかったというのもあった。
(続く)




