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(二)-9
「ウソだろ」
隊員の誰かが呟いた声がインカム越しに聞こえる。
俺も道路の端の方へ来て曹長の方を見た。斜面を駆け下りていく姿が見えた。既に五〇メートルほど先に行ってしまった。
そしてすぐ隣で銃声がした。
追跡していたアメリカ海軍海兵隊の特殊部隊員たちだ。彼らのうち二人は曹長と同じく斜面に降りて行く。残りの二人は道路沿いに下り斜面を駆け下りていった。
そして残った三人のうちの一人、隊長のケリー・アンダーウッドが七三式大型トラックを指さしながらたどたどしい発音の日本語で「あれを貸してくれ」と声をかけてきた。
(続く)