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「あべこべの国」(Reverse Country):鈴×蓮

#記念日にショートショートをNo.33『あべこべの国~私と魔法とえぼけばルエカ編~』(Reverse Country:I,Magic,and Ebokeba-Rueka part)

作者: しおね ゆこ

2020/5/4(月)みどりの日 公開

【URL】

▶︎(https://ncode.syosetu.com/n6534id/)

▶︎(https://note.com/amioritumugi/n/nb9c7c3d5505e)

【関連作品】

「あべこべの国」シリーズ

 ➖「申し遅れました。私、尾玉雀子と申します。」

カエル➖オタマジャクシさんは、振り返って優雅に一礼すると、「他のことは歩きながら」と言ってまた歩いて行く。カエルなのにオタマジャクシなんて、変な名前だなと思いながらも、カエル➖オタマジャクシさんについていく。

「ここは先程も申しました通り、〝Dnal Ebokeba〟と言いまして、人間界とは反対の位置にある世界なのです。」

「私人間なんだけど大丈夫かな。」と口を挟もうとした私を、オタマジャクシさんはギロッとした目で睨み制す。脳内に、「いいから黙ってろ。」とオタマジャクシさんの声が響く。

驚いて目を見開いた私に、「ちゃんと人間界には戻してやるから黙ってついてこい。」と、またオタマジャクシさんの声が脳内に響く。

「この世界の住蛙はみんなカエルでして、近頃は噂のウイルスで人間界に働きに出ることも出来ず、みんな退屈しているんですよ。それで、噂のウイルスで同じく退屈していて、なおかつウイルスに感染していない人間を人間界から連れてきて、協力してもらおうと言うことになったわけなんです。」

「協力って、何を?」

「実は、数日前から〝ルエカ〟という音符のようなまっくろくろすけのような生き物がこの世界を蔓延っていまして、それはもう厄介なんです。食べ物を横取りしたり、お金を盗んだり。」

「退治できないの?」

「それが、ルエカをカエルが退治しようとすると、ルエカは倍増してしまうんです。ところが、人間が退治すると、ルエカがカエルになるということがつい先日、研究で判明いたしまして……。」

めちゃくちゃな理論だな、とは思ったが、口には出さないでおく。

もう50匹もいるんですよ。と、オタマジャクシさんが頭を抱えた。

「で、どうやったら退治できるの?」

「簡単でございます。この杖をルエカに向けて、〝Ebokeba〟と唱えるだけでございます。」

オタマジャクシさんの手に杖が現れる。

「あ、ほら、あそこに、ルエカがいます!」

「ようし、〝えぼけば〟!」

ルエカがすっ、と消え、カエルが現れた。

「へえ、すごい!」

「あなたには、この国のルエカをすべて退治してほしいのです。このレーダーで、ルエカを見つけ、退治してください。もちろん、対価として、〝Ureanakowimozononnihs〟という報酬を差し上げます。」

「〝うれあなこうぃもぞのんにふす〟?」

目をキョロキョロとさせる私に、オタマジャクシさんが「人間にとってかなりいいものだと聞いています。」と、肩をすくめた。

「まあ、いいわ。」

報酬が何なのか全く見当もつかないけれど、ルエカ退治が楽しそうではある。

オタマジャクシさんからレーダーを受け取る。すると、赤い丸が無数にレーダー上で点滅し始めた。

「わかったわ。じゃあ、行きましょう。」

こうして、私とカエルのオタマジャクシさんの、奇妙な冒険がはじまった。


 「〝えぼけば〟!」

蓮の葉の上で踊っているルエカに杖を向ける。ルエカがカエルに変わった。

「いい調子ですね。もう47匹目です。」

オタマジャクシさんと歩きながら、レーダーを頼りに次々とルエカに杖を向けて行く。 

「あのお城が最後です。」

オタマジャクシさんがレーダーを見て指示を出す。

「ようし、最後の3匹ね。頑張りましょう!」

そう気合を入れ直し、オタマジャクシさんと拳を突き上げる。私たちは、最後の舞台であるお城の門をくぐった。


 対岸から湖越しに見えていたお城に入る。お城独特のひんやりとした空気は漂っておらず、空気にわたあめのような甘い香りがほどよく溶け込んでいる。

「あ、いた!〝えぼけば〟!」

階段の手すりで戯れる2匹のルエカに呪文を唱える。戯れていたルエカはカエルになり、仮面舞踏会でダンスをするように優雅に踊り始めた。

「残り1匹ですね。」

オタマジャクシさんとレーダーを覗き込む。赤い点が、1つ、レーダーの中央で止まっていた。

「探しに行きましょう。」

ダンシング・カエルを横目に、階段を上る。2階,3階,4階……と隅々までしらみつぶしに探す。

「おかしいわ、いないわね……。」

4階の上は、もう屋上だ。レーダーが壊れているんじゃないかと、階段を上りながら、レーダーを見る。

赤い点は、¨まだ中央で止まっていた。¨

(「まさか……。」)

屋上への扉を開ける。風が吹き込んできた。

「ねえ、オタマジャクシさん。」

髪が、風に揺れる。

「何で、その名前なの?」

風の音が、強い。

「何で、真っ黒なの?」

風を抑えて、振り返る。

「何で、お尻が小さいの?」

【登場人物】

○鈴(りん/Rin):中学3年生・15歳

◎尾玉雀子(オタマジャクシ/Otama-Jakushi):カエル

◎ルエカ(Rueka):「Dnal Ebokeba」に蔓延る生き物

【バックグラウンドイメージ】

【補足】

①用語について

○「Dnal Ebokeba」:人間界とは反対の位置にあるカエルの世界

○「Ureanakowimozononnihs」:ルエカ退治の報酬

②「¨(ウムラウト)」について

twitterやnoteでの初公開時は太文字で書かれていた部分ですが、「小説家になろう」で掲載するにあたり、太文字にすることが出来なかったため、例外的に該当箇所を「¨(ウムラウト)」で挟むという措置を取らせていただきました。初公開時の太文字表記のオリジナルのものは、前書きに記載した【URL】にあるnoteのURLからご確認いただけます。

【原案誕生時期】

公開時

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