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掌④

時々、蓮の兄貴に連絡して様子を聞いた。数日経っても蓮は元に戻らなかった。

ある日の昼間、俺は道で変なものを見た。仕事の休憩でコンビニに昼飯を会いに行こうとした時だ。

それは蓮と歩く夕夏ちゃんの姿だった。キャップ帽をかぶっていたけどあれは絶対蓮だ。2人は周りを気にしているように見えた。

驚きすぎてスタスタと歩く蓮を立ち止まったまま眺めた。声をかけようと動き出したとき横から来た猛スピードの自転車にベルを鳴らされて気をとられ、俺は2人を見失ってしまった。

その事が気になって気になってどっちかに聞くかどうか迷いまくった。でもなんとなく聞くのが怖い気もした。2人しか知らない秘密があるとか、蓮が一歩リードしてるみたいでちょっと悔しい。それに聞くのはプライドが……

悶々としていると夕夏ちゃんからメッセージが来た。ご飯の誘いだった。夕夏ちゃんから誘ってくるのは珍しい。もしかして何か重要なことを相談されるのかもしれない。だから外で蓮と会ってた?……



3日後、仕事が終わってから夕夏ちゃんと食事することになった。何を言われるのか心配で朝から何にも集中できなかった。でも、夕夏ちゃんが俺を誘った理由は予想と違った。

「ごめんね、花火の約束忘れてて」

メニュー表を開いていると夕夏ちゃんが言った。

「え?…

あぁ、全然」

「あのとき花火見てたのにすっかり忘れてて」

「そんなんいいよ。蓮が手術したから気持ち的に行けないだろうなって思ってたから」

「ほんとごめんね」

「気にしなくていいって。それより、大丈夫?」

「あー、うん… ショックだったけど、蓮がいなくなる訳じゃないし、とりあえずは手術が成功してよかったなって」

「そっか。何かの拍子に思い出すかもしれないし、俺もできるだけのことはするから」

「ありがとう。でも、もう蓮が無事だったらそれだけで充分だから。安全なのが一番いい」

夕夏ちゃんは今回のことにかなり責任を感じてる様子だ。

「あんまり落ち込まない方がいいよ。夕夏ちゃん何頼む?」

俺はメニュー表を向けた。

「理久君は何頼むの?」

「えーっと… これこれ!ここ来たらいつもこれしか頼まないんだ」

「じゃあ私もそれにしようかな」

「まじ?めっちゃうまいよ」

「楽しみ」

テーブルのベルを鳴らして注文をした。

「ハンバーグステーキセット2つ、300gと150gで!」

「かしこまりました。ハンバーグステーキセット300gがおひとつ、150gがおひとつですね」

「お願いします」

店員はメニューを引いて去って行った。俺は水を飲んで落ちついてから聞いた。

「そう言えばさ、蓮って手術してから外出許可出たとか聞いた?」

「ううん。許可出たの?」

「ほら、あいつさ、手術の経過いいみたいだからもしかしてと思って」

「私が聞いてないだけかもしれないけど」

そう言った後、夕夏ちゃんは一瞬顔色を変えた。

「どうして?」

「いや、別に。許可出たとしたら飯くらい一緒に行こうかなって思っただけ。そうだ、気になってる飯屋あるんだけどさ、夕夏ちゃん行かない?多分また夜になるけど」

「うん、どんなお店?」

「えっとねぇ……」

俺は携帯電話をテーブルに出した。飯屋のリストをメモっといて良かったと思った。




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