追憶26
恭也さんは片方の腕をタケルに支えられながら階段を降りていく。微かに木が軋む音が聞こえて不安になりながら上から見守った。そして中段あたりで気がついた。
「あっ」
車椅子を降ろさないといけない。慌てて車椅子を畳んで持ち上げようとした。思ったより重量があることに驚いて一旦床に置くとその音でタケルが振り向き2人は足を止めた。
「夕夏、それ運ぶから1回代わって」
「ごめん。結構重いんだね」
階段を降りてタケルと交代し、恭也さんの横についた。車椅子を降ろし終わるまで動かずに待ち、タケルが戻ってきて再び交代すると恭也さんは残りの階段を降りた。
外へ出て莉奈ちゃん達のところへ行くと綺麗に塗られたペンキの目映い白さが目に入った。
「すごい、これ莉奈ちゃん達が塗ったんだよね?」
「はい!結構いーかんじに塗れてませんか?」
「うん、綺麗」
「やったー!」
遥人君は反対側で大きな脚立の一番上に乗って高いところの板を塗っている。端の部分を慎重に塗りあげるとゆっくり呼吸をしてから脚立を降りてきた。
「はぁ~緊張したー!ちょっと休憩。丁寧に塗ってるつもりなんすけど、どうすか?」
恭也さんは眩しそうに見上げた。
「均一に塗れてると思う。ペンキ塗ったことあるの?」
「いやいや、初めてっすよー!」
「そうなんだ?初めてとは思えないな」
「えっまじっすか?集中力いるけどめっちゃ楽しいっす!」
「よかった、そう言ってもらえて」
「任せてください!莉奈とここ全部塗りきるんで!」
遥人君は持っていたペンキの缶を地面に置いた。すると莉奈ちゃんがやってきた。
「ねえ遥人、私も上のほう塗ってみたいんだけど」
「危ねーぞ?」
「うん。だから遥人が脚立支えててくんない?」
「まぁ、それならいいか」
「ありがと」
莉奈ちゃんは早速脚立に乗り上げた。脚立は5段もある背の高いもので、高いところが苦手な私はハラハラしながら見ている。
「莉奈、一番上はやめとけって」
「大丈夫だって。あたし高いところ好きだし」
「気を付けろよ」
「うん」
タケルを見ると真後ろで広く掛けられたブルーシートを剥がしていた。
「恭也、先にここにある資材で使えそうなものがあるか見て欲しいんだ。捨てようと思ってたけど、棚を作ったりするのに必要なのがあるかもしれないから」
「わかった。こっちを先に見るよ」
「タケルさん!恭也さんが手必要なときは俺がやります」
「ありがとう遥人君、頼んだ」
「りょーかいっす!」
「夕夏、行こう」
「あ、うん」
タケルはさっさと歩いていく。私はまた2人きりになることに緊張してぎこちなく足を進めた。




