追憶⑭
元に戻る方法は、みんな集まったときに発表しますね!
莉奈ちゃんは張り切ってそう言った。遥人君も内容は知らないようだった。
お盆明けの出勤から3日経って恭也さんからメッセージがきた。今週の日曜で外出許可が取れたみたいだ。
「橋詰さん」
「あ、お疲れ様です」
外回りから戻ってきた柳瀬さんは給湯室の冷蔵庫を開けるといつもの炭酸ジュースを喉越し良さそうに飲んだ。
「お盆過ぎてもまだまだ暑いね」
柳瀬さんは額に浮かんだ汗をハンカチで拭った。
「暑いですよね。今からお昼とるんですか?」
「うん。橋詰さん達も今からだよね?」
「はい」
「宮園さんは?」
「コンビニにお弁当買いに行きました」
「そうなんだ」
「柳瀬さんは愛妻弁当ですか?」
「そうそう」
柳瀬さんは笑った。私達は休憩室に移動して順番にレンジでお弁当を温めた。
「そういえば捷から聞いたよ。今週の日曜に蓮と出かけるんだって?」
「あー、はい」
「捷がさ、ボードで会話できるのに俺には何にも言って来ないって心配してたんだ。自分から出かけたいなんて、前向きで安心したって喜んでた」
「そうだったんですね。よかったです」
「一時はどうなるかと思ったけど、ほんと、橋詰さんのおかげだよ。ところで日曜はどこ行くの?」
「あの、共通の知り合いがいて、その人のところに行くんです」
「共通の知り合い?」
「はい」
「蓮と出会ったのって病院が初めてだよね?共通の知り合いって」
「話してるうちに、蓮の友達が私の知り合いだってわかって…」
「そうなんだ?やっぱ世間って狭いんだな」
「…そうですね」
「どうやって移動するの?」
「一応、車で」
「橋詰さんって運転するんだ?」
「私は免許持ってなくて、一緒に行く友達が車出してくれることになったんです」
「へえー、楽しそうだね。俺その日は家にいるから万が一何かあったときは連絡して。捷も電話とれない時があるだろうから」
「ありがとうございます。そうします」
柳瀬さんはお弁当を持って先にテーブルに向かった。私が自分のお弁当を温めていると宮園さんが外から戻ってきた。
「おかえり。何にしたの?」
「チキン南蛮にしましたー!」
「いいね」
「あ、柳瀬さん帰ってきたんですね」
「うん」
電子レンジの音が鳴って私達は柳瀬さんのいるテーブルに座った。
「お疲れ様です!」
「お疲れ様。宮園さんお弁当のボリュームすごいね」
「はい、めちゃくちゃお腹空いてたんで!」
「ははっ。食欲旺盛でいいね」
「いっただっきまーす」
休憩室のテレビを見ながらそれぞれお弁当を口にし始めた。宮園さんはタルタルソースたっぷりのチキンを一切れ頬張り飲み込むと言った。
「柳瀬さん、橋詰先輩って最近なんか怪しくないですか?」
「え?」
2人に注目されて思わず箸で掴み上げたウィンナーを落とした。




