追憶⑪
長野に戻る新幹線の中、景色が変わり始めたあたりで携帯にメッセージが入った。
恭也さんからだ。昨夜送信したメッセージに対する返信だ。タケルが暫く長野にいる用事があって、恭也さんに会いにいくと言っていると送信していた。
病院で会うのはまずいかもしれない
用事って何?
確かに、顔が瓜二つな2人が病室に揃っているのはまずい気がする。関係を聞かれたら余計に面倒なことになりそうだ。用事については詳しく聞いていなかった。
タケルに質問しようとアカウントをタップすると、今度は莉奈ちゃんからメッセージがきた。
仲直りできてほんっとによかったです!!
タケルさんと会うとき、ダメじゃなかったら私も行きたいです
できれば遥人も一緒に!タケルさんに会いたいって言ってます
また4人で再会できるなんて夢みたいだ。そう思った瞬間もう一通メッセージがきた。
入れ替わってるってこと、遥人に話しました
ちゃんと信じてくれましたよ
もうひとりで悩まないでくださいね!
莉奈ちゃんは、強くて優しい。
返信で、タケルと恭也さんが会うことになったことを知らせた。莉奈ちゃんは今大学が夏期休暇に入っているため都合がつきやすい。一緒に会ってもらえたら、解決する方法が何か見つかるかもしれない。
長野の自宅に着いて、まずは移動で掻いた汗を流すためにシャワーを浴びた。
濡れた髪にタオルを巻き、昼食に何を食べるか考えながら鞄から携帯電話を取り出した。タケルから返信がきている。
長野の山中で改装作業をしてる。恭也に言えばわかると思う。
改装?……
言われたまま恭也さんに内容を送信した。するとすぐに既読がついてメッセージが返ってきた。
その場所で会いたいと伝えてくれるかな?
外出許可を取ってみる
彼に車で近くまで迎えにきてもらえたらいいんだけど
スクリーンショットを撮ってタケルに送信した。莉奈ちゃん達がタケルに会うのはまた別の機会になりそうだ。
帰省で家を空けるため買い物を控えていた。買出しに行くため身支度をして外へ出た。
セミが鳴いている。暑さで自転車を漕ぐのもすぐに疲れてしまう。信号待ちをしながら日焼けが気になり日傘を差した。右側に一時停止したワゴン車にふと目をやると窓ガラスが開いた。
「夕夏さーん!」
運転席で遥人君が手を振っている。驚いて手を振り返した。
「車、変わったの?」
「はい!」
信号を見るとちょうど青に切り替わった。
「あとで連絡しますね!」
そう言って遥人君は車を発進させると真っ直ぐ遠くに行ってしまった。




