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追憶①

あの時、マフラーを受け取ったのは恭也さんですか?―――――

そう聞きたかった。でも、言えなかった。もしあの時の意識がタケルだったなら、タケルはどうして恭也さんの振りをしたのか、

その答えを想像するとなんとなく悲しい気持ちが込み上げて喉が痞えた。

いつか遥人君から聞いた話を思い出した。恭也さんと真由那さんに協力するため、タケルは自分としての人生を選ばなかった。

もう一度私に会いに来てくれたのは………

けど、それは思い違いかもしれない。



2日後から盆休みのため埼玉の実家に帰ることになっていたことをすっかり言い忘れ、次の日携帯から蓮のアカウントへメッセージを送った。

恭也さんから、私が長野に戻って落ち着いたら話をしたいと返信があった。遠慮してそう言っているのだろうけど、私にとっても急いで解決したいことだった。それで実家に戻ってからは携帯のメッセージを通じて恭也さんとやり取りをした。

元に戻るためには入れ替わった2人が会う必要があるんじゃないかと恭也さんは言っている。今は東京のアパートに住んでいると聞いて、私の実家からならそう遠くないことに気が付いた。そしてタケルに会うため東京のアパートを訪ねることにした。

「夕夏、あんたどこ行くの?」

「ちょっと」

「どこって聞いてるのに。何時に戻ってくる?」

「わかんない」

「せっかく帰ってきたと思ったら、こんなお盆の時期にどこ行くっていうのよ」

「もういいじゃん、どこ行ったって」

「はいはい。ついでに買い物お願いしていい?」

「…何買ってきたらいいの」

「えーっとねえ」

母がテーブルでメモを書いている間、携帯に返信が来ていないかもう一度確認した。

東京のアパートを訪ねることを決めてすぐ、タケルにSMSでメッセージを送っておいた。

大事な話があるから8月14日に東京の自宅で待っててほしい。そう送った。都合が悪ければ居ないことくらい返事をくれてもよさそうなのに、タケルからのメッセージは来ていない。

「はい、これお願いね」

「わかった」

「そういえば、明日は花絵ちゃんの家に行くのよね?」

「うん」

「花絵ちゃんのお母さん、あんたが来るの楽しみにしてくれてるみたいよ」

「花絵ママが?」

「うん。桃のタルト買って待ってるって」

「そうなんだ。じゃあ隆平にも声かけてみようかな」

「いいじゃない!きっと喜ぶわよ」

「うん」

玄関に向かうと母は後ろをついてきて、ドアを開けると上機嫌で手を振った。

「やっぱ幼馴染はこうじゃないとね」





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