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再生⑫

「2年前、君がタケルと呼んでいる人格が現れてからずっと自分は二重人格者なんだと思ってた。でもそれは違った。青谷蓮と俺は度々入れ替わってたんだ」

「そんな……」

「彼は突然意識不明になってこの病院に入院した。その間、俺がこっちの体に入ったときは意識がないから元に戻っても何も覚えていない。そして最近久しく入れ替わって、この体で初めて意識を持ったことでやっと状況がわかった。落ち着いて考えられるようになるまでに少し時間がかかってしまったけど」

「でも…でもやっぱり変です。だって、蓮はこの病院で初めて会ったとき私のことを知りませんでした。同一人物だっていうなら、蓮にはタケルとして過ごしたときの記憶があるはずです」

「入れ替わったとき、彼だけが記憶をなくしてるんだとしたら?」

彼女は黙り込んだ。すべてのことを遡ろうとしているのかもしれない。暫くすると呟くように言った。

「……記憶喪失」

「タケルが君に会いに来たって言ってたよね?おそらく彼はそれぞれの体で記憶を蓄積しているんじゃないかと思う。だから今回入れ替わったときにはタケルとしての記憶が蘇った」

「そんなことって…」

ドアの向こう側から音がして彼女は腕時計に視線を落とした。

「面会時間、過ぎてますね」

「近いうちにまた来てくれないかな?これからのことを君に相談したいんだ」

「…わかりました」

彼女は考え込んだ様子のままゆっくりと立ち上がった。

「マフラー」

「え?」

「2年前に渡したマフラーは、何色でしたか?」

「君がプレゼントしたマフラーだね。色はネイビー」

「じゃあ、やっぱり目の前にいるあなたは倉前恭也さんなんですね」

「うん」

「あの時」

彼女はそう言ってから俺の目を真っ直ぐに見ると言葉の続きをためらうように鞄の紐を握り締めた。

「あの時って?」

「……なんでもないです。また、来ます」

「ありがとう。あと、話せるようになったことは暫く黙っていてほしい。周りには心配かけて申し訳ないけど、今の状況で青谷蓮として会話をするのは難しい」

「わかりました」

鞄を抱えて頭を下げると彼女は部屋を出ていった。


どうすれば元に戻れる?

とにかく俺と青谷蓮は会う必要がある。俺が最後にいた場所はこの長野にある真由那の墓の前だった。あれから随分日が経ってるのにタケルが今もまだ長野にいるというのはどういうことなんだ?

もしかして…………





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