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再生④

数日間、恭也の状況について調べた。もしかしたら恭也が一瞬戻ってくるかもしれないと思った。

でも、頭痛ひとつせず朝起きても恭也は現れなかった。

本棚から見つかったもう一冊のノートと3泊分の荷物をキャリーケースに詰めて再び長野へ向かった。

予約したホテルでチェックインを済ませたあとは荷物を置いてすぐ真由那さんの墓参りへ出掛けた。

線香をあげて心の中で真由那さんに話した。恭也を立ち直らせるために僕があれを完成させる、そう約束した。

霊園を出て目的の場所へ向かうため駅へ歩いた。信号を待っている間、あの警察官の言葉が浮かんだ。

―――その駅から白枝駅まで行けるよ

2年経った今、夕夏はどうしているだろう。考え出すと色々な感情が込み上げる。

そして結局、白枝駅で降りて結び桜の神社へ足を運んだ。

階段を上って見えたのはいつかと変わらない景色だった。青々と葉が茂る木を見ると夕夏に出会った日のことを思い出す。

境内を歩いていると雨粒が顔にかかり見上げると空は一面灰色だった。そして雨は一瞬にして地面を濡らした。

階段を降りて駅に戻ろう、そう思っているのに足が進まない。

僕は何を迷ってる?―――――

2年前のあの日、ピアスを入れた紙袋をドアノブに掛けて自分に言い聞かせた。

僕は作り上げられた人格で、この体は恭也のものだ。何度目覚めても夕夏を幸せにすることはできない。

強い意思をもって振り切ったはずなのに、今になってどうしても想いを消せない………

雨のなか暫く立ち尽くした、そして決断した。

恭也として生きていく。ただ、夕夏にもう一度会いたい。もう一度だけ会って、この迷いを絶つ。



途中で傘を買った。電車に乗ると周りの人が僕を見た、頭からびっしょり濡れているからだ。

ドアの前に立って外を眺めた。数日前も見たはずの景色が少し違って見える。

夕夏が今もあのマンションに住んでいるかはわからない。駅を降りて家が近くなってくると段々会えないような気がしてきて堪らなくなった。

インターホンを押すと声が返ってきた。なんて言っているのかよく聞こえなかった、でもその声は夕夏に違いなかった。言葉を交わせる距離にいることが信じられない。そして懐かしい名前を口にした。

オートロックが開いてエレベーターに乗り、服が濡れてしまったことを後悔した。

ドアを開けて出てきた夕夏は変わらない雰囲気を纏っていた。また会えた、その思いで不安が溶けていくようだった。

でも、こんな時に限って体がふらつく。風呂から出ると話す余裕もなくなりベッドにもたれ掛けた。

翌朝起きると夕夏は敷布団で眠っていた。その寝顔を見ている間だけ自分のことを幸せ者だと思えた。

話すことはできなかったけど、これでいい。もう迷いはない。

恭也の夢は、まだ死なせない。



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