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出会い③

「面白かったねー」

「そうだな。結構原作のイメージ通りだった」

「私も原作読んでみようかな」

「映画よりも内容濃いしすげえハマる」

「そうなんだ、楽しみ」

「この後どうする?」

「私はまだ時間大丈夫だけど」

「夜飯だけ食べて帰らねえ?」

「いいよ。って、もうご飯の話?さっきあんなに食べてたのに」

「あれは間食、俺の体は時間通りに腹減るんだよ」

「よく働く胃だね。そうだ、中華とかどう?」

「いいけど、さっき行った上んとこのか?」

「うん。すっごいオススメのお店あるんだ」

「じゃあそこ行こうぜ」

「うん」


電車に乗っていつもの駅で降りた。私も店に行くのは1週間ぶりぐらいで、休みの締めにあの元気の出る味を堪能したいと思った。駅から歩いて10分、赤と黄色の屋根は日で焼けていて年季が入っている。でも店のドアガラスはいつも綺麗に吹かれていて店内の雰囲気が温かく感じるのはおばさんがいつも丁寧に掃除しているからだろう。古いテーブルもカバーが少し破れたイスも、私は好きだ。

「ここだよ」

「トウフウケン?」

「私よくここに食べに来るの」

「美味いんだ?」

「うん」

ドアを開けるとあの鈴が鳴った。

「いらっしゃいませ」

遥人君と真っ先に目が合った。

「こんばんは」

「こんばんは・・・2名ですか?」

「はい」

奥の方で中華鍋を振るおじさんはこっちに気が付いて笑ってくれた。

「今カウンターしか空いてないんすよ」

「いいよカウンターで、ね?」

「ああ」

隆平と端のカウンター席に座りメニューを手に取った。

「ここの料理どれも美味しいんだー」

「うまそうな匂いしてるな」

お冷を出してくれた遥人君は様子がぎこちない。

「決めた。夕夏は?」

「私は天津飯とニンニク抜きの餃子」

「俺は麻婆豆腐と炒飯、あとエビチリ。お前も食うだろ?」

「うん、ありがとう」

「天津飯、ニンなし餃子、マーボー、炒飯、エビチリですね」

「お願いします」

遥人君は私と隆平を交互に見ると、いつもの一言二言なしに会釈をし厨房に入っていった。隆平はトイレに行くと言って席を立った。

さっき見た映画の原作をスマホで検索した。隆平が言うとおり、実写版の再現力は好評のようだ。

「夕夏さん」

「うわっ」

いつのまにか遥人君は横に立っていた。

「何?」

「あの人彼氏っすか?」

「ああ、違う違う」

「いい感じの人とか?」

「違うよ、幼馴染」

言った途端、遥人君はいつもの陽気さを取り戻した。

「なんだー幼馴染なんすね」

後ろの方でお客が呼んだ。

「混んでますけどゆっくりしてってください」

「ありがとう」

昨日はゲームに熱中しすぎて話ができなかった分、隆平とお互いの近況について語った。途中、料理が次々ときて隆平は夢中で食べ始めた。


「あー、満足」

「お腹いっぱいだねー」

「まじでうまかったわ」

お冷を飲んで、少しゆっくりしてから隆平は伝票を取った。

「じゃ、帰るか」

「うん」

遥人君が気付いてレジに来てくれた。隆平はここも出すと言って払ってくれた。

「遥人君、今日おばさん見ないけどどうしたの?」

「えーっと、急性膵炎ってのになったみたいで入院してんすよ」

「え、入院?」

「はい。あ、でもそんな重症じゃないんで安心してください」

「そうなんだ。お見舞いに行きたいから後で病院と病室メールしてくれないかな?」

「はい!ありがとうございます」

店を出ようとするとドアが開いた。

「あ、莉奈ちゃん」

「夕夏さん!・・・」

莉奈ちゃんは私の横に隆平が立っているのをみて口をぽかんと開けた。それを見て、やっぱり遥人君と莉奈ちゃんはよく似ていると思った。



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