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2人⑥

一目惚れだった。まさかその子にこんなかたちで再会できるなんて思ってもみなかった。


蓮のヘアカットが終わり、部屋を移動してもいいか聞こうと看護師を探した。予定していた相部屋を覗くと前に話しかけた看護師がいた。そして、入り口に立っている女の子を見て驚いた。タイプなんて言葉じゃ言い表せないくらい理想の子だった。でもぼうっとしてる場合じゃない。看護師に声を掛けて移動のことを聞いた。

そのあともその子とは廊下で会った。蓮を見ていたからもしかして知り合いなのかと期待した。でも後で蓮に聞くと首を横に振った。

それから暫く忙しく過ごしていた。久しぶりの見舞いに行くと蓮は顔色が良く、いつにも増して穏やかな顔をしていた。手話を勉強しているらしく、あの時の女の子が柳瀬さんの知り合いだったとボードで話した。俺はなんてラッキーなんだ、そのうち会うことがあるかもしれない、そんなふうに思った。

その日、蓮はスケッチブックに描いた絵を見せてきた。同じ夢を何度も見るらしく、それを描いたと言って2枚の絵を俺に見せた。ひとつは赤、黄、青、紫などでたくさんの丸を段々に重ねてある絵で、もうひとつは緑とオレンジを所々に塗ってあるだけのものだった。手を器用に動かせないことを知っていたから変にからかうと悪いと思って黙った。すると蓮は笑ってスケッチブックを閉じた。

ゆうか、あの子の名前を蓮はそう言っていた。


勤めているヘアサロンの店長が突然休みをくれた。服を買おうと店をうろついていた時、柳瀬さんの子供がもうすぐ誕生日だということを思いだした。当日じゃなくてもいいだろうと思いプレゼントを買って届けに行った。

ドアが開くと玄関にあの子が立っていた。急に目の前に現れて俺は静かに動揺した。奥さんに美蘭ちゃんのプレゼントを渡すと柳瀬さんが俺達を見た。顔見知りだとわかると柳瀬さんは駅まで送ってあげてくれと言った。普通な感じに装ってたけど内心嬉しすぎてこれをきっかけに仲良くなりたいと思った。

車で駅までなんてあっという間だ。焦っていたから前半何を話していたか覚えていない。ああ、もう車を降りる。その時、カットモデルの依頼を思いついた。カットモデルをしてほしいと言って連絡先を交換した。ちょっと無理があったかと思ったけど夕夏ちゃんはあっさり引き受けてくれた。

車を出してすぐ信号待ちになり、夕夏ちゃんにメッセージを打った。


引き受けてくれてありがとう。

施術料は取らないし、お礼にご飯奢るから!


送信してから暫く画面を見ていた。お礼にって言いながらお前のためだろ、と自分に思った。


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