表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/97

出会い②

「ねえ、やっぱり先に家具見に行こうよ」

「え、うん」

ベビー用品店を出た私達はひとつ下の階にあるインテリアショップへ移動した。この店もまた落ち着いた雰囲気で、ウッドを貴重とした北欧デザインの家具が素敵だ。

「このソファーの色良い」

「お、いいじゃん」

「あのテレビ台と揃えてさ、ラグはマスタードイエローとかかっこよくない?」

「すげーいいな。せっかくだし部屋のライトも凝ったやつにしたいな」

「いいね。鍵もらうのいつだっけ?」

「28日」

「あと10日かあ。荷づくり進んでる?」

「全然。まあ、ほとんど実家に置いてくけどな」

「そうなんだ。それにしても隆平が1人暮らしするなんてねー」

「どういう意味だよ」

「家事とかできるのかなーって思って」

「そんなの適当にどうにかなるっしょ」

「結構大変だよ?」

気になる店をいくつか見てまわり、レストランフロアへ向かった。

「え、うそ」

予想していたよりも混雑していた。どの店も並んでいてビュッフェの店は一番長い列が出来ている。

「もっと早く来たらよかった。並んでたら映画間に合わない」

「しゃーない、映画館の食べ物でとりあえず空きっ腹埋めるか」

「そうしよう」


ーーーーー出張で長野に行くからお前の家寄っていいか?

そう言って隆平は遊びに来た。夜にはホテルに帰ると言いながらテレビゲームで盛り上がり結局泊まることになった。今日の映画はもともと一人で見る予定だったけど泊まりついでに2人で出掛けることになった。それと、ちょうど花絵への出産祝いを何にするか悩んでいたから隆平と選ぶことにした。ショッピングモールの別館にある映画館。席は後ろの方になってしまったけど龍平は首が痛くならないからいいと言った。大きなポップコーンにホットドッグ、チキンとコーラを抱えるのを見て今朝はベーコンエッグを追加しておいて良かったと思った。

ランチを後回しにした分、時間に余裕ができた。座席についてまだ明るいシアタールームでゆっくり食べられる。

「この映画の原作読んだ?」

「ううん。隆平は読んだの?」

「読んだ。結構展開が予想外でさ…」

「あーそれ以上言わないで!」

「ははっ。冗談だって」

隆平はホットドックにかぶりつきコーラで流すとポップコーンをつまみ始めた。

「なあ、俺泊まって大丈夫だったのか?」

「何が?」

「だから、お前彼氏いるんじゃねえの?」

全く覚えのないことを聞いてくる。隆平は気をつかっているのか何も映っていないスクリーンをまっすぐに見ている。

「いないよ。なんでそう思ったの?」

「昨日寝る用のTシャツとズボン貸してくれたから。あれ、男物だろ」

「あれは…友達のだよ」

隆平はこっちを見た。彼氏じゃない男の服が家にあるほうが変なのかもしれないと思った。なんとなく気まずくてメロンソーダを飲んだ。タイミングよく上映開始のブザーが鳴って部屋が暗くなった。隆平はスクリーンに目を移しホットドッグの残りをほおばった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ