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出会い⑬

蓮のリハビリに協力してやってくれないかな?

今は手足が不自由で声も出せない。

本人は3年も眠ってた自覚がないらしい。

起きたらいろんなものを失っててショックを受けてる。


柳瀬さんから来たメールにはそう書かれていた。

「協力してやってなんて重かったよね。リハビリって言っても、ただ蓮と仲良くなってくれたらいいなって思ってるだけだから」

「はい。でも、どうして私に?」

「なんとなく蓮と合いそうだなって。女の子の友達が出来ればあつも元気出るかなって思ったんだ」

「あの、蓮君のお兄さんの名前聞いてもいいですか?」

「兄貴の名前は(すぐる)だよ。大学からの付き合いでよくボーリングとか行ったんだ、そこに蓮と、蓮の親友も入れて4人でね」

「兄弟で仲いいんですね」

「うん。あいつら両親を亡くしてて、捷は面倒見が良くてさ。蓮のこといつも気にかけてた」

両親がいないということを聞いて胸が詰まった。

「蓮が寝たきりになる前は兄弟2人でインテリア家具の会社を経営してたんだ。今は捷が他の社員を雇って回してる」

「インテリア家具ですか」

「蓮が商品のデザインを担当してたんだよ」

「すごいですね」

病院について柳瀬さんは駐車場へ車を停めた。降りると後部座席のドアを開き何かを手に取った。歩きながらそれを見ると袋には書店名が印字されていた。



エレベーターに乗って上がる途中で急に緊張してきた。私はどういう感じでいたらいいんだろう。

心の準備が整わないままとうとう部屋の前に来てしまった。

柳瀬さんの後ろについて相部屋に入った。カーテンから中を覗くと青谷蓮は私を見て少し反応した。

「蓮、この子が後輩の橋爪さん」

「こんばんは、初めまして」

私が挨拶すると彼は軽く頭を下げた。布団から出ると置いてあった車椅子に自ら乗り移った。ぎこちなさはあるものの、思っていたより動けるみたいだ。

「自分で移れるようになったんだな」

柳瀬さんは嬉しそうに言う。彼は少し笑った。その顔を見てはっとした。ついあの人の面影と重ねてしまう。

「談話スペースに行こうか」

車椅子のレバーを握って柳瀬さんが言った。彼は棚から文字の書かれたボードを取って膝に乗せた。



柳瀬さんはソファーに座るとテーブルの前に車椅子をつけて、持っていた書店の袋から文庫本を3冊取り出した。

「これ、どれがいいかわからなくてだいたいで選んだけど」

本はどれも小説だった。彼はボードをテーブルに置いて、右手の人差し指で“ありがとう”と書かれた箇所を指した。

ボードにはひらがな一覧とよく使う言葉が記されている。

「出版されたばかりの本だから読んだことはないと思う」

柳瀬さんが言うと彼は本を手に取り、裏面のあらすじに目を通して再びボードの文字を指した。

ひらがなの表以外には、はい、いいえ、ありがとう、ごめんなさい、大丈夫、わかった、と6つの言葉があるだけだ。それ以外はひとつずつ文字をささなければいけないのが大変そうだと思った。

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