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出会い⑪

ミルクを飲み終わって美蘭ちゃんはウトウトとし始めた。

「ちょっと寝かせてくるね」

安西さんはリビングを出ていった。柳瀬さんとコーヒーのお代わりを注いで飲んだ。

「柳瀬さんに聞きたいことがあるんですけど」

「何?」

「あの・・この間話してもらった、意識が戻った人」

「ああ、蓮だね」

名前を言われて、病院で柳瀬さんが立っていた所はやっぱりあの人の部屋だったんだと思った。

「寝たきりになったのは事故じゃないって」

「そういえば前に話したとき途中だったね。蓮はね、ちょっと変わった状態だったんだ」

「変わった状態?」

「うん。道で倒れてたのを通りかかった人が見つけてくれて病院に運ばれたんだけど、調べたらどこにも異常はないって診断されて。あいつロードバイクが好きでさ、それに乗って転倒したみたいなんだけど、怪我は軽い打撲程度だったらしい」

「それだけで意識不明になったんですか?」

「そう。何度も検査はしてて、医者は原因不明だって」

「倒れたのっていつ頃ですか?」

「3年くらい前かな」

「もっと詳しい時期は分かりますか?」

「・・沙織と結婚する前、関係が不安定になった時期かもしれない」

「それってあの写真の件ですか?合成の」

「あ、それそれ」

過去が鮮明に蘇りながら少しずつ情報が重なっていく。

「倒れた場所ってどこですか?」

「神社の下の道。白枝駅ってあるだろ?あそこの近くに神社があるんだ」

完全に一致した。

「でも、どうしてそんなこと聞くの?」

柳瀬さんに言われて戸惑った。

「えっと、それは」

奥からドアの閉まる音が聞こえて安西さんが戻ってきた。

「今日はすんなり寝てくれた」

安西さんは椅子に座って食べかけていたケーキの残りを食べ始めた。

「そういえば蓮と橋詰さんは同じ歳だ」

柳瀬さんは何かを閃いたような顔をした。

「橋詰さんって彼氏いるの?」

予想もしなかった質問に驚いた。

「いないです」

「そっか、じゃあ丁度いいな」

それを聞いて安西さんは首を傾げた。

幸仁(ゆきひと)、急にどうしたの?」

柳瀬さんは笑みを浮かべて言った。

「橋詰さんに蓮を紹介しようと思って」

私と安西さんは固まった。

「いいと思うけど、蓮君って今・・」

安西さんは何かを言いにくそうにしている。

「うん、だから橋詰さんがいいかなって思って」

話がよくわからない。

「橋詰さん、ひとつ引き受けてほしいことがあるんだけど」

「はい」

柳瀬さんが言いかけたところで今度は玄関の方から音がした。宮園さんが帰ってきた。

「すいません、ついでに色々見ちゃって遅くなりました」

「ごめんね、買ってきてくれてありがとう」

宮園さんがお釣りを渡した。安西さんは受け取ったミルク缶を棚に上げてお菓子の入った籠を出した。

「宮園さん、ミルクティーも入れられるけど飲める?美味しいのがあるの」

「はい、ミルクティー大好きです。手伝います」

「2人は飲む?」

「お願いします」

宮園さんはドラッグストアで売っていた化粧品のことを安西さんに話している。柳瀬さんが小声で言った。

「蓮の事、また後でメールするね」

「はい」

私はどうしても先に聞いておきたい事があった。宮園さんに気付かれないよう様子を見て言った。

「その人って、前は違う名前だったりしましたか?」

「え?」

柳瀬さんは質問の意味を考えている。

「例えば、クラマエって苗字だったとか」

「ずっと同じ名前だよ」

「そうですか。すみません、変なこと聞いて」

宮園さんが振り向いた。

「何の話してるんですかー?」

ティーカップがテーブルに運ばれた。

「別に、大した話じゃないよ」

「えーそうなんですか?あ、先輩も私が使ってる化粧水試してみません?すっごいツルツルになるんですよ」

「へぇー、なんていうやつ?」

その後も私達はお菓子を食べながら色々と話をした。よく喋る宮園さんに時々返事をしながら私はタケルと過ごした日々を思い出していた。

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