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出会い①

「隆平、ねえ起きて」

「・・・」

「もう。休みだからって寝すぎ」

起こすのはこれで3回目だ。

「んー・・いま何時?」

「11時だよ」

「ああ、どおりで腹減ってるわけだ」

「朝ごはんまだ置いてあるから」

「まじ?」

隆平は起き上がると寝癖でとがった前髪をかきあげ、のっそりと洗面所へ行った。私はラップをかけておいた朝食をレンジに入れた。

「夕夏ー、この新しい歯ブラシ俺の?」

「そうだよー」

電気ケトルのお湯が沸き、ポタージュスープの粉をカップに入れて湯を注いだ。スプーンでかき混ぜながら今日観に行く映画の上映スケジュールを思い浮かべた。観たい作品の午後からの上映は2本。15時45分を逃したら後はナイトシアターしかない。

レンジからおかずを出した、隆平には少し足りないかもしれないと思いベーコンエッグを焼くことにした。

「うお、うまそー」

隆平はシャワーで濡らした髪をタオルで拭きながらテーブルの前に座った。

「いただきます」

さっき洗濯機から取り出したシーツをベランダの竿に干した。日が射しはじめてカラッとした風が顔を包んでいる。ここに立って、向こう側に青くぼやけている山を眺めるのが好きだ。風の音だけ聞いて、ただぼんやり、陽の光が強くなったり弱くなったりするのを見ているこの感じ。


「夕夏」

隆平が後ろに立っていた。

「お前ずっとそこにいるじゃん」

「ああ、ごめん。なんか天気いいなーと思って」

「晴れてよかったな」

「今日さ、先に買い物行かない?」

「俺はどの順でもいーよ」

「映画は15時45分からなの。いまご飯食べたばっかりだし、ランチは早いでしょ?」

「うん。じゃ着替えるわ。飯、ごちそうさん」

「はーい」


日曜ともあってショッピングモールは家族連れが多い。

「やっぱ中は涼しいなー」

「ほんとだ。梅雨なんて一瞬だったね」

「もう夏かぁ」

隆平はTシャツの胸元を摘みはたはたと仰ぎながら、フロントガイドを探す私についてくる。

「えーと、ベビー用品・・・あった!6階だ」

「エレベーターの前、人すごいぞ」

「エスカレーターでいこう」

先月リニューアルオープンしたモール内は 新しく入った店やイベントブースの充実で賑わっている。

「お昼ご飯はここの上にあるビュッフェ行かない?」

「いいじゃん。俺もう腹減ったわ」

「もう? あ、あの店可愛い!」

隆平は笑っている。

「お前いつもよりテンション高いな」

そう言われるとそうかもしれない。だって、もうすぐ生まれてくるんだから。

「後で家具も見にいきたいね」

「そうだな」

ベビー用品店“Marguerite”はフランスのブランドで、アンティークカラーに愛らしさをプラスしたデザインの商品が揃っている。

「ネットで見てたけど実物ってすごい可愛い~」

店の入り口に飾ってある様々なデザインのスタイが目を引いた。「こんなシャレたのもあるんだな」

全ての商品に目を通したい私となんとなく見てまわる隆平は分かれた。暫くして隆平と再会した。

「何かいいのあった?」

「あれとかどう?」

隆平が指差したのは赤ちゃんのマネキンが着ているフードのついた服だった。

「いいね、クマの耳ついてて可愛い。でもあのサイズはちょっと早いかも」

「でかいか」

「あ!そこに同じデザインのサイズ違いあるよ」

色々見た結果、ロンパース2種類とスタイ、そしてベビーピローを箱に詰め合わせてもらうことにした。

「お客様、ラッピングに10分ほどお時間いただきます。メッセージカードは必要ですか?」

「あ、はい。お願いします」

「あちらにペンをご用意していますので、もし宜しければお使い下さい」

「ありがとうございます」

店員さんからカードをもらい、カウンターの端に置いてあるペン立てから色を選んで手に取った。

ーーーー 花絵へ

そこまで書いてから気になった。

「生まれる前に書いたら変かな?」

「生まれてから渡すんだし、いいだろ」

「そっか。隆平、お願いね」

「おう」




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