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優れた四感

作者: 島ちゃん

僕は生まれつき目が見えない。だから視覚以外の五感で日々を過ごす。人は五感が1つでも欠ければ生活が困難になるだろう。でも僕はそうならなかった。視覚以外の五感が優れていたからだ。聴覚でどこから音が出て反響しているのか、それを頼りに距離感を掴むことができる。触覚で風が自身にあたるのを感じながら人一倍に反射が早く、触った物の材質や形を覚えて次に触ったのが何かすぐに思い出せる。味覚でこれは何か当てれるし、見たことなくても素材が何かさえわかってしまう。嗅覚でちょっとした空気の変化でも一人一人の匂いも違うから誰かハッキリ当てれるし、匂いの方向でどこから来ているかも判断できる。視覚がなくても他がここまで優れていれば基本不便なことがないのだ。しかし当然不便と思うことだってある。例えばデジタルをいじること。文字をキーボードで打つのは容易い、でも画面が見えなければ自分一人の力で進めることは出来ない。平で凹凸のない画面に何万、何億、という人達が集めた情報が集約されている。そんな機械に視覚以外でどう画面の中の情報を1人で知れと言うのだか。それに不便でなくても色という物を見てみたいと思ってしまう。景色は綺麗と言うだろう?見たことはない。しかし人はそれを見て感動するらしいのだ。僕には目を開いたところで何も見えない、視覚を持つ人が言うに真っ暗という表現になるらしい。だからこそ色を知りたい。火は赤いらしい、海は青いらしい、レモンは黄色で、ぶどうは紫、色に触れられるのは見るしかないのだ。いくら視覚がなくても他の人に勝っていたとしてもそれは視覚以外の話。僕は視覚が欲しかったのだ。色んなものを見てみたい。色を知って、景色を見て、今までと違う楽しみ方に触れたい。でも僕の目は見えることが無い、それは医者に言われたことだから本当なんだろう。それでも僕は視覚以外の優れている五感が普通になってもいいから視覚が欲しい。そう願った。そして再び朝か夜かもわからないままの暗闇で静かに眠った。


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