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MY song

押せない。

作者: caem
掲載日:2020/07/10




 ーーカンカン、カンカン。


 振り下ろされた時の音色。


 一斉に走り出す、駆け出す。


 心を揺さぶる戦慄の音色だ。


 間に合うも間に合わないも、そのさじ加減。


 最中、それは突如訪れてしまった。


 がちん。


 思いもよらなかったのだろう、母親ですら。


「おぎゃあ、おぎゃあ!」


 つい先ほどまで熟睡していた赤子が泣き喚く。


 きちんと避けていたはずの凸凹に見事に填まっている。


 真っ直ぐ進んでいて、乳母車の足は決して横にならなかった。


 ーーカンカン、カンカン、カンカン。


 どんどん近づいてくる。 必死に足掻く。


 自分だけはどうなろうとも、この子だけでも、と。


 ーーカンカン、カンカン、カンカン、カンカン。


 駄目だ、もう…………。 そう諦めかけた時だった。


「壊しますよ、良いですね?」


 バキンと力強い、豪腕により車輪が外れた。


 次いで母親もろとも抱き抱えて勢いよく、その窮地から逃れられた。


「ありがとうございます!!」 「いえいえ、そんなーー」


 一部始終を視ていて。


 その正義のヒーローのような当たり前の行為に虫酸が走る。


 まるで偽善者だろうと、鼻で笑うしかない。


「そんなの、緊急停止ボタンを押せば良いじゃん」


 一切手助けしようとはせずに、暢気(のんき)に眺めるモニターから。


 真っ赤な文字が浮かび上がった。




「そんなこと……もう、できないでしょ?」




 轢かれた回数は忘れた。


 ただ、愚痴るだけの、いつも。


 花束など手向けられてやいない。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 誰がひかれたか、文章がぼんやりしてつかめないですが、誰かがひかれたことは分かります。 救いのなさが切ないですね。
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