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ザ・そこそこ優秀な賢者が新たな世界を創造し、自分だけの絶世の美女を育てようとした話

作者: いわふね

これは数ある私の経験の中の一つ。精神操作耐性のあるローブの錬成素材『絶世の美女の心』を調達しようとしていたころの話である。。

精神操作系の魔法は実に厄介で、かかった後は何とも言えない気持ちの悪さがあるし、私ほどの力を持っていると世間にとても迷惑がかかる。


正気に戻ったときに、私は今度は何をしでかしたのだろうか、、!?等と考えたりするのがとても、いやなのである。


しかも私には至極残念ながら、耐性があまり無いようなのだ。。


そんな中、私は耐性付きの装備を作ろうと思い至った。

以前攻略したダンジョンのボスがレシピを落としていたのだ。


ただし、素材が大変厄介で、『絶世の美女の心』が必要だという。


もうほんと、勘弁してください。


主観で素材を語らんでください。。


というか、このレシピ本物なのかな。。私かかってるのかな、精神操作魔法。。。


。。。。。


気を取り直して、方法を熟考した私は、妙案を考え付いた。


自分だけの世界を想像してしまえばよいのだ と。


自分で想像した世界だったら、自分の主観での『絶世の美女』が誕生してくれるはずで、


そうすれば、ねんがんの、精神操作耐性のあるローブができるはずである。


流石は私。押しも押されもせぬ、孤高の大賢者。


自分の才能が怖い。


実は先日同じような事をやっている同業者に会ったのだが、


勿論それからヒントを得ているわけではなく、最初からしっかりと選択肢に入れていた事はあえて言わせていただきたい。


私は早速世界の元を創造した。


本当は世界の素材を集めてすべて新しく、最初から始めることが理想なのだが、


私は忙しいので、手ごろな世界をコピーしてくることにした。


最近はインスタントで世界を創造できる術具が簡単に手に入るようになった。


昔から考えると、信じられない進歩である。素晴らしい。


『はじめて世界創造キット』を購入し、説明書通りの素材をいれて電子窯に入れる。


スイッチを押して20年。これだけである。最高。


もちろん20年もただ待てない私は早速時空系の魔法を使用し時を20年早め、


電子窯から世界を取り出して見てみた。


いよいよ、絶世の美女とのご対面となるのだ。。!


んー。。


んんーーー??


あ、これ、セミですね。セミがおしゃれな樹上カフェで仕事しながら樹液吸ってますね。


失敗ですね。はい。本当に申し訳ありませんでした。


あ、でも、、あれは、、


あのセミは、、、


なんと美しいのだ。眼が眩むほどだ。。


。。


。。。。


気が付くと私は私の世界の中に転移し、絶世の美セミの目の前に立っていた。


「こ、こんにちは!今日はいいてんきで


「キャー、化け物!!!!?」


美セミは(セミ語)で叫び、気絶した。確かにそうである。賢者たる私はセミではないので、


彼女からしたら異形のモンスターにすぎない。。つらい。。。


どうして私はセミに生まれてこなかったのだ。。私のバカ。


私は涙を流しつつ。美セミの心を一部抽出し、自分の世界へと戻ったのであった。


ちなみに心を抽出しても死ぬことはないので、ご安心されたい。


自分の世界に戻った私はしばらく何もする気が起きなかった。


。。。。


しかし、ある程度時間が経つと、落ち着いてきた。


やはり時間こそが、人の傷ついた心を一番癒してくれるのだ。


そして気が付いた。


いやいやいや、まずいだろ。大賢者。


大賢者はかわいいセミに心奪われちゃだめだろ と。


こんなことだから初級の精神操作魔法にバッチリかかってすべてのミカンの色をオレンジから紫色に変えたりして、人に迷惑をかけるんだ と。。


正気?に戻った私は、しかしもう一度あの世界を除く勇気はなく、


そっと世界を私の支配から解放した。


いつかもう一度出会うことがあっても、素敵なままのセミでいて欲しい。そう願ってやまない。


本日はここまで!


抽出した『絶世の美セミの心』は大変美しく、私の心をとらえて離さない。


しかし、これでローブを錬成したら、この素材は無くなってしまう。これを使うなんて、とんでもない!

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