第9話ーナーハの森の主が化ける
森の主ってだけでなんか強そうw
下位竜種のレッサードラゴンでも像の2、3倍程の体積があり、エルダードラゴンともなるとその倍にもなる。
グレートドラゴンは更にその倍くらいって感じに、像の10倍前後くらいで妄想しよう!
地上に墜とされた森の主は、目前に迫った新たな4人と対峙する。重圧は効かない、火炎ブレスでもダメージが見込めない、巨体から繰り出されるはずであろう、渾身の攻撃すら許されない…。
「雷撃の矢!」ツキジが撃ち込む。
「氷撃の矢!」クロラも同時に放つ。
「おまーさ、めんこいけどもゴメンよー!」大刀を振りかざしてメイリンが森の主へと斬り込んで行く。
「「待て!!いや、待ってください‼︎」」大きな声が森の主の方角から言い放たれる。
「魔法障壁!」ヨーテモが森の主の前に魔法障壁を展開すると、ツキジとクロラの魔法は弾かれ、目視転移でメイリンの前に瞬間移動して、渾身の大刀による一撃を片手でいなしてしまった。
「「我はこの森の主、グレートドラゴンの亜種にして、矮小なる人族の力、遠く及ばざる存在。だが…」」森の主は危険度Aランクのグレートドラゴンの中でも亜種である変異種個体であった。その力は通常のグレートドラゴンよりも遥かに高みにある。
「嘘ー!!喋ったワ!」動物好きのセチャーンが目を輝かせる。
「すげーーっす!やっぱヨーさんやべーっすw」
ナギの驚きはグレートドラゴンではないようだ。
「単独で倒せる言うてたんは…ホンマやなー。」
ツキジは小さく首を振ってやれやれとばかり。
「この子、僕の従魔に欲しいでありんす!」アリは目の前の千年を越すという寿命を誇るグレートドラゴンに子供扱いをする。
「それは駄目だ。」ヨーテモは即座に答える。通常魔獣も精霊も、竜も、自身を凌駕する者に対して従魔契約を結ぶ。稀に近い力量であっても、信頼関係が万全である場合にその契約が成される事もあるらしい。
「まだお前たちの誰にも、彼の領域には立てて居ない、わかるな?アリ。」優しくヨーテモが諭す。
「「2年前より我を凌駕する力をたまに感じる事があった。」」森の主がそう言うと、自身の身体にまばゆい光を放ち、「「擬人化!」」みるみると巨体から人族かのような人型へと変身する。
「完全回復!」ヨーテモは森の主が変身した人型に、回復魔法を施す。ルカに射抜かれた片目も、従魔を含む他に削られた、小さな傷の数々も、瞬く間に修復していく…。
「これが…最上級回復魔法…」第1適性が神官であるセチャーンが目指す領域だ。
「「かたじけない…。人語を語るは200年ぶりか。重力魔法を放った後に、其方が解放した莫大な魔力、その後に我が身を竦ませる重圧…あの大戦でも感じた記憶にはない。どうか我を眷属として仕えさせてくれ。」」
森の主は片膝をつき、ヨーテモの前で頭を下げる。
「我が名はヨーテモ、今からお前の主人だ。」ヨーテモは短剣で指先を小さく斬ると、互いの額に印を描く。従魔契約が成立する。
「「主よ、我に名を与え給え。」」森の主は言う。
「我が最初の眷属である竜よ、其方に名を下賜する!今よりミコトと名乗る事を許す!」ヨーテモは女人型に身を変えた森の主に、前世での愛猫の名を与えた。
「「我が名はミコト!我が主、ヨーテモの最初の眷属である!」」名を与えられたミコトは、覚えのない力で溢れる。従魔は時として、主人の格により、存在進化する事もある。
「うぉぉおおおおー!!!かっけぇぇぇー!」
「ズルいぜヨー兄!」口々に羨望と、少しの僻みを混ぜた言葉が飛び交う。
「さあ、まだ体力が余ってるよな!wガジュマル村までの道すがら、ナーハの森の魔獣は任せたぞ!」ヨーテモの言を受けると、言うが早いかすぐに帰路につく。
「っしゃあー!誰が1番獲物を倒すか勝負だ!」チョスが煽る。
「やらせんよw」ナギは煽りに乗っかる。
「んー、まあいんじゃね?」ツキジはマイペースだ。
「見せ場無しじゃ終われないヨネw」クロラもその気だ。
みんな頼もしく育った…。最後尾からミコトと仲間の子供達を追いながら、ヨーテモの目じりが下がっていた。
やりました!ファンタジーの主人公にはファンタジーなお供が欠かせません!




