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第44話ーそして突然に

ハッ‼︎

めまぐるしい復興を果たし更なる飛躍をみせる獣人族と精霊族、安定して高みを目指す人族。

手をこまねいて再度の侵攻に踏み出せない魔族。

高みの見物を決め込む竜族…。


ヨーテモが目指すのは全ての種族の融合融和、協調であった為自らが中地への侵攻ではなかった。


かといって手をこまねいていつ再び侵攻してくるかがわからない現状のままでよろしいとも思えないのであるのだが…。


既に自身の力量は「ワコク」世界の中に於いて異端である事への自覚はあり、他者もまた絶対的な存在である事への認識はされているようだ。


おそらくそれは魔王リオも同様であり、たからこそ1年もの間に目立った進軍が見られないのであった事が想像されたのだ。


国王直下(ネクスト)の中でも東地、南地との外交を委ねられているヤンシとジカコに獣王、王妹、精霊王、エルフ王とヨーテモの姿がそこにある。



長距離転送魔法陣により繋げられた最南地(ウチナー)、人族が主に生活する此の地を選んだ理由は特にはない。既にどの領域でも三族同盟間での定期的な会議は成されており、官民での交流が成立している一環なだけなのだ。


それぞれの種族の商人はいち早く三大陸間での商いを開始し、冒険者たちもそれに続いた。


種族間が大陸間での移住する事も当然に許され、三族同盟はもはや1つの巨大な共同体、連邦を構成する様相を呈しつつあった。


して、本日は持ち回りにて1ヶ月に一度の三族定例議会が、人族を主に住まわす最南地の順番なのであったのだ。


「東地、南地双方が魔族の手より奪還され、少なくともここまで1年の安寧が守られ、三族間の官民連携が果たされてきた。」


普段は議事進行をヤンシやジカコに委ねるヨーテモ王だが、懐疑的ではあるが和平を手に入れてより1年という区切りなのだ。


「そこで我より皆への提案がある、忌憚のない意見が聞きたい。身分や種族といった遠慮は禁物だ、思うままに感じた事をお聞かせ願おう。」


そういってヨーテモは提案の内容を告げる。

それはある程度予想していた内容と、予想外の内容とが入り混じっていたのであった。


既に擬似的には成立している三族同盟間での連邦 政府への昇華と、そこに魔族の統べる中地、竜族の統べる北地を含めた構想を打ち明けたのだ。




「…ヨーテモ殿がそれを唱えるからには何かしらの策があり、またそれに勝算が見込める…そう解釈して良いのかな?」

精霊王ミチョークが問うと、エルフ王ギネマーク、獣王エンピ・イーロもウンウンと首を縦にこちらを覗き見ている。


「既に其方が我等の見知る領域ではない事も重々承知してはおる、魔族や竜族に勝ることはあっても劣る事は考えられないのだがな。」

獣王イーロは少し笑みをこぼす。


「我々としてもワコク全域を再び戦乱へと巻き込み領土を拡大したいなどといった野心は持ち合わせてもいない。」

エルフ王ギネマークの目に嘘はない。


「ヤンシやジカコは1年という短い期間ではあるが、東地、南地とのパイプ役として共に住まい、共に復興と発展を支えて暮らした仲間であろう、思うところは何かないだろうか?」


ヨーテモが尋ねる。


「中地へも北地へもヨーテモ王は長距離転送魔法陣を隠し持っているだろう事は周知の事実です。また、王の力があれば単身乗り込んで中地の王も北地の王すらも葬って組織を瓦解されるだけの力もありましょう。」

ヤンシが言い


「そしてそれは貴方が望む形には非ず、200年と少し前の人族が誤った統治よりも愚行なのだとお気付きなようだ。」

ジカコが続きを語る。


「つまりはそういう事である。直ぐに過去を水に流す事は難しい。だがこの200年それぞれが排他的に他者を忌み嫌い、交わらずに単一の価値観のみを信じて疑わなかったが為に今がある。そして今というのは三族の融和、融合が叶うという事も含まれている。」


ヨーテモは雄弁に語り続ける。


「力と力の応酬は憎しみの連鎖を生む。助け合い互いに補い合う事で見えてくる無限の可能性がこの1年に詰まっていたのではないか。」


「で、あるな。」「ですな。」「…成ったか。」



となってからの三族の動きは早かった。

ヨーテモは手始めに真魔王リオが構えるサカーオの地へと単身で転移魔法(ゲート)を使うと、悪戯に突然現れた仇敵に群がる魔族を蹂躙する事も控え、高位身体強化(ハイブースト)飛翔魔法(フライ)目視転移(テレポート)を多用した。


リオの眼前に無傷で現れると気配(オーラ)重圧(プレッシャー)を完全なる全力にて発動させ、その場の魔王リオを含めた全ての動きを封じた。


直ぐにそれを解いて歴然たる力の差を思い知らせると、想定外に次ぐ想定外はリオを容易に納得せしめるに事足りるのであった。


続けざまにリオを伴ってランプを従え、スイスイとヤチハの前へと現れ、中地の三大魔王たちは種の悲願たる「ワコク」統一が不可能であった事を知る事となる。


魔王リオ、獣王イーロ、精霊王ミチョークを伴い、北地竜族が統べる王都ノースキスへ竜王リュシオを訪ね、同じ手順にて説く。



竜王リュシオもまた魔族側が優位に東地、南地の半分以上を侵し、またそれが一瞬にて人族の参戦にて儚く破れた事実は伝え知っている。


それが経過としてどういった過程を伴ったかなどの憶測は、目前に現れたヨーテモを計れば児戯にも等しかったのであろうか。




「人族が過去の多大な過ちを、愚行を再度犯す事は難しい。数の優位性(アドバンテージ)も既にない。人族だけに非ず、他種とに優劣を見出す事はこれから先の永きに渡ってどの種族にもあってはならない。またおそらくそれは杞憂である。」


ヨーテモは先日の会議の内容と一連の未来観をそれぞれの王に対して投げかける。


それぞれが自身の仲間と友と家族を、民の為を想えば必然的に答えは自明の理となる。

そしてあまりにもあっさりと策は叶う。



五大陸間に住まいし全ての種族は優劣なく停戦が成立し、官民の交流が約束される。

それぞれの国家や王制を解体する必要性はなく、むしろ解体しても反発や混乱を招く事ばかりが懸念される。

現在までの体制を保証したうえで、自由な往来と相互の文化交流、知識見識の共有が確約される。


独自に秘匿する技術などに無理に干渉される事もないのだから、得はあっても損が無い。


絶対的強者が圧政を敷く事もなく、過大な影響力を誇示する事もしない。

謙虚さと威厳とをあい含ませて打診してきた。


従うより他にない…なのではない。

どの種族にも意地があり、誇りがある。

例え相手が敵わぬ強者であろうと、それが踏み躙られるのであれば種の存続を捨ててでも抗う事を選択しただろう事は容易に想像出来る。


欺瞞(ぎまん)猜疑心(さいぎしん)を抱かせぬ程にその男の目と、(つむ)がれる言葉に嘘を疑う余地が無いと本能的な理解が出来たのだから仕方がない。



その男、名をヨーテモと言い、「ワコク」の世界から争いを奪った王として永久に語られる。


半透明なステータスプレートを久しぶりに確認すると誰にも明かしていないスキルが見える。


現人神(あらひとがみ)

現生に具現化された肉体(よりしろ)を用いて想像する全てを具現化させる事が出来る



前世の異世界転生テンプレでも見た事はない。



万策尽きたか…グフッ…



2週間ほどの短い間ですがお付き合い頂きありがとうございました!


また気力が満たされたら何かアクションw

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