第27話ー参戦と共闘
獣王様ぁぁぁ‼︎
エンピ・アーカにエンピ・イーロ、エンピ・アーオ…なんだか色と鉛筆みたい!
ハカータに陣取るはスイスイ、クマモにはゴンが居て、獣王エンピ・イーロの立て籠もるミヤザ砦へは、ゴン指揮下の魔族の軍勢から断続的な攻撃が止む事なく行われた。
獣人族の象徴である王族を絶やすべく、カゴーマの王妹エンピ・アーオの元には別働隊シビの率いる軍勢が向かって進軍していたのである。
第1陣の中では3番手に前線に向かうはずであっただろうフル・チョー率いる新生従魔騎兵部隊の遥か遠方に確かな敵意を放つ魔族の軍勢が検知される。その数は4000から5000の遊撃隊だった。
(目前にカゴーマへと向かうと思わしき遊撃隊を発見、その数約5000!獣王が立て籠もるミヤザ砦を包囲する敵本体はそれよりも多いと思われるが、如何いたそうか?)
フル・チョーは遠隔念話の魔道具にて第1陣総指揮のコアに指示を仰ぐ。
(そのままミヤザ砦へと進軍されたし!カゴーマにはホーク・ダンの部隊も居る、問題はない…獣王が討ち取られる事だけは避けねばならん!)
コアの言を受けると直ぐに、気配どられる事を危惧しながらも、行軍速度を下げずに少しばかり迂回して先行したアリの空軍部隊を追ってミヤザ砦へと進路をとった。
「新王様!このままでは砦が陥ちるは必定!貴方様だけでも落ち延びて第3の都市カゴーマへ!王さえ生きて居れば獣人族が巻き返す事もあります故‼︎」
新代獣王の立て籠もるミヤザ砦に残った近衛師団の残党は最早その数500前後にまで減らし、取り囲むゴン指揮下の魔族の軍勢は2万を越した。
「…だが‼︎誇り高き我等が獣人族…我が身可愛さに部下を置き去りに逃れるなどと!亡き前王に合わす顔がないではないか‼︎」
獣王イーロもまた前王の全盛期とまでは言わずとも、勇猛果敢にて思慮深く、民を愛し部下を大事にする賢王の資質を備えていたが…。度重なる敗走に次ぐ敗走、多くの仲間や部下を失い、連日の熾烈を極めた魔族の猛攻は、正しい判断を失わせるには過分たる理由だと言わざるを得ない。
代々獣王を務めた王族は獅子人族であり、その牙や爪は必殺に至る程の膂力を誇った。
一度獣王が咆哮すれば、力弱きは気を失い、身が竦み、大槍を振るえば放たれる剣圧も含めて10とも20とも敵を屠った。
だが…急襲を受けてより1年半余り…魔獣や死人にリッチやヴァンパイア、下級悪魔から上級悪魔などといった、圧倒的な数を背景にした魔族との戦いは、単独種族では抗えない程に戦力差に開きがあったのだ。
獣王イーロが懸命に抗っていたミヤザ砦の上空が、突如として雷鳴を轟かせた。先程までは憎いほどに晴れ渡っていたはずであるのだが…。
「上級範囲雷撃‼︎」
雷帝ツキジが放ったそれは、一瞬にして下位の死霊たちを蒸発させると共に、抵抗出来た中位以上のモノ達へも、麻痺を残して動きを鈍らせた。
「絶対零度‼︎」
氷帝クロラは砦を包囲する数百の敵を行動不能に陥らせる。その大半は既に絶命している…。
「獣王イーロ様‼︎砦の後方へと氷の退路が‼︎」
近衛師団には害のなきよう、2人の魔法は配慮された。
「爆炎爆風‼︎」
賢者ナギは砦前方から退路へと向かう獣王と、それを囲むように守る近衛師団が退がるや否や一団を追撃する魔族軍を焼き払う。
業火は壁となり追手の進路を完全に塞ぐ。
「どうやら間に合ったな!」
国王直下の中でも最大火力を誇る3人の大魔導士が高位身体強化して飛翔魔法を使い、視界の先々へと目視転移をも絡めて最短で駆けつけたのだ。
3人は交互に上空から上級範囲魔法を敵軍へと放ち、獣王と王を見事に守り抜いた近衛師団の一行を退路へと導く事に成功したのであった。
「獣王イーロ様‼︎此処よりカゴーマに向けては我等が四葉王国軍が続きます故、ひとまず急ぎ向かわれたし!」
氷帝クロラがそう言い放つと、急ぐ足を刹那に停めて獣王は振り返り、上空の3人へ頭を下げてまた直ぐに退路へと踵を返した。
「かたじけなし‼︎」
獣王イーロは満身創痍で残る僅かな手勢と共に退路を急いで足早に砦をあとにした。
3人のガス欠が心配です!
ピストン輸送あとにはマジックポーション!
でもでも…飛翔魔法に転移魔法、身体強化…
目一杯攻撃は継続出来そうにないっすね!




