第1話ー魔法の無い生活にはもう戻れないンゴ!
全世界は統治されて久しかった。。。1億2千万人とも言われた人族は、その圧倒的な数を武器に北地から最南地までを支配し、全大陸に跋扈した。
永きに渡る支配の間に、人族は傲慢を極めた。獣人族を、精霊族を、魔族を…あまつさえ竜族すらも下等種として冷遇し、自分達こそが至高の種族なのだとあぐらをかいていた。
人族は同族内でも利権を争い、やがて内紛の混乱に乗じてその他の各種族は反旗を翻し、北地は竜族が、東地は精霊族が、南地は獣人族が、そして中地は魔族が実効支配する事となった。
海を隔てた最南地にて、落ち延びた人族は、その数を20万人とまで減らし、細々とながら小さきコミュニティを維持して生き延びた。
そして二百年もの時が過ぎた。
序章ープロローグ
「ハト!そのまま前線を維持しつつ左方へ展開、無理はするなよ!セチャーン!後方からハトへプロテクト、ハトから俺の順でヒールだ、右回りで敵との距離を空けてな!」
「了解!」「オッケー!」ハトは自作のフル装備に身を包み、前衛タンクとして敵集団の半数以上を引きつける。
中衛にてハトのカバーをしつつ、後衛セチャーンからの補助、回復魔法を滞りなく引き出す。
時として前に後ろに、混戦におけるバランサー、舵取りがパーティーリーダーである俺の役目だ。
小盾を左手に、ショートソードを右手に構え、ハトは臆することもなく器用に敵の数を減らしつつ集団のヘイトを集めて立ち回る。セチャーンからの補助魔法と回復を受けて、中衛の俺ヨーテモも、両手の短剣を振るい1匹、また2匹と確実に仕留めていく。
「ヨーテモ!ラス1ゴブリンが森に逃げて行くよ!」「ラスアタどぞーーんww」「ヤラナイカ!」
逃げるゴブリンの前に素早く回り込み、ヨーテモの短剣から剣圧が放たれる。
「ゴブっ。。。」最期の断末魔を言う前にゴブリンの首と胴は離れ、3人は互いに目を合わせ、小さく笑みを漏らす。
「もうゴブリン如きは敵じゃないっすなー!!」
「んまぁ20体くらいはこうして殆どノーダメで倒せるよな!」
「油断禁物よ!さっさと魔石を拾ったら、ヨーテモは片付けなさいよー!」
「了解!」「うぇーーい…。」
21個の小さな魔石を拾い集め、ゴブリン達の屍を一箇所に集めていく。
積み上がった肉塊に向けてヨーテモが言い放つ。「ファイヤープラス!」
瞬く間に炎はゴブリン達の屍に燃え拡がり、ゴブリン達の貧相な装備と共に跡形も無くなっていく。
「私思うの!ボロくてもゴブリンの装備を売ったり配ったりするべきよ!きっとそうよ!」
セチャーンは真面目で思い込みが強い性格である。
「あんま手間かけすぎっとまた次が来る、連戦はこの前でもう懲りただろ!?」
面倒臭がりのヨーテモは続けざまに言う。
「それにうちらにゃハトの装備がある!その辺の武具屋の装備より軽くて硬くて長持ちだ!」
まるで自分の手柄かのように満面の笑みでヨーテモが誇っている。
「ありがとうございます!今日の収穫した魔石で多分…僕等はEランクに上がれるはずっす!昇格祝いで俄然全員の装備を新調しちゃうっすー!!」
成人してもないのに身体の大きなハトは普段無口なのに、自らが作る装備に関しては饒舌だ。
「おーー!!そういやもうランクアップだな!丈夫過ぎて刃こぼれもあまりないんだけど…。Eランクになったらもっと強敵と戦うはずだもんな!!」
「ハト!本当に!?新装備になったら…覚えたてのエンチャントなんかしちゃうんだかんね!!」
三者三様にテンションが高いのは狩が無事終えたので当然だろう。
「………。」「ぇ!?マジかよ!?」
呆気にとられて互いの顔を見合うヨーテモとハトを余所目にセチャーンは鼻息荒く両手に拳を握って飛び跳ねていた。
「さぁ!帰り着くまでが冒険なんだぞーー!!」
狩終える帰路の前にヨーテモはよく言っている。決め台詞のようだろうか。
「まだそれ言うのー!?」「了解!」
ランクアップの先に待ち受ける新たな冒険に胸を踊らせ、3人の少年少女の足取りは軽い。
ガジュマルの村に向かう3人は競い合いかけっこする。
「いや、セチャーン!身体強化はズルいって!」最後尾のハトがボヤく。
「だってヨーテモなんか飛んでるじゃない!」身体強化してもなお、ハトは僅差で追ってくる。
図体も大きいが、素で魔法系統以外のパラメータが高い。
「大丈夫!!覚えたてのフライはまだ2人しか知らないしw降りたらちゃんと走るから!…身体強化はするけどもーww」
後ろを振り返り余裕のあるヨーテモがニヤついている。
「いや、何が大丈夫なのか意味わかんないしっ!!」
ハトとセチャーンの台詞が丸々かぶっている。
「そもそもどうしてヨーテモが…失われし古代魔法なんかを…」
「2年前に急に右肩に出た紋様…ヨー兄はきっと選ばれたんだ!!」
ハトの目はキラキラと輝いてどこが誇らしげである。
「そんなの200年前のお伽話でしょ!!私達は人並みに暮らせたらそれだけで良いの!!」
セチャーンは目を吊り上げて紅潮した頰を膨らます。
「2人共覚悟しといてなー!!俺達にはウチナーの世界じゃ狭過ぎるんだ!」
目下の2人に対し笑顔で語るヨーテモは更に加速する。
最初から労なく冒険が始まってしまっていますね。
きっと無双して俺TUEEEしたいンゴ!




