今後の方針
「エルピア国、聞いた事ないけど。」
「ねえ、あなたどうやってこの国に入ってきたの。今、この国は隣国アリスラス王国と戦争中で旅行者に対 しては厳しい入国制限があるはずよ。にも関わらずあなたは身分を示す物が何もないじゃない。そんな怪 しい人を入れるとは思えないんだけど。」
クロエが訝しんだような目で奏を見る
「んー、だからよく覚えてないんだけど。」
「とにかく、あんたの身元が分からない限り自由にさせるわけにはいかないわ。」
「でもお姉ちゃん。どうするの、いつまでもここに置いとくわけにはいかないと思うけど。」
「そうね、とりあえず、リリスの元に連れていきましょうか。」
「リリス、誰それ? 」
「この町の駐屯兵の隊長よ、通常、この村には兵士はいないんけど今はアリスラス王国との戦争の前線付近 という事で兵が駐屯しているのよ。」
「なるほど、でも呼び捨てなんてその人と親しかったりとか? 」
「通常は隊長クラスの人は皆に尊敬されて様付けされるんだけど、リリスは親の七光りで隊長になったって 言われていてね。隊長としての素質はいまいちなのよ。ただ、人が良くて皆から好かれているんだけど ね。」
「リリスお姉ちゃん、どんくさいからね。あんなんで本当に隊長なんか務まるのか心配しちゃうよ。」
アリーぐらい小さい子に言われたら形無しだなと奏は苦笑した。
「とりあえず、あなたはまだ万全じゃないからしばらく休んでて悪いけど見張らせてもらうから。」
それからしばらく経った見張られていたとは思えないぐらいぐっすり眠れたのは奏自身驚いていた。