目覚め
あれ、なんだろう、目の前が真っ暗だった。
目を開けたいけど開ける事が出来ない。
とにかく眠くて仕方がないそんな感覚に襲われていた。
「まだ息があるわ。」
「お姉ちゃん、どうしよう。」
何やら女の子の声が聞こえる、何を言ってるかはよく聞こえないが声から考えて一人は小学生、もう一人は高校生くらいかだろうか。私に何のようだろう。
ああ、駄目だ、まだ意識が。
「うう、あれここどこだろう。頭が痛い。」
周りの様子を見渡してみる。
レンガの壁に囲まれた日本ではあまり見ない部屋だった。
「学校の保健室ではないよね。」
行った事ないけど多分違う。
「うっ。」
起き上がろうとすると痛みが伴った。体調はあまりよくなさそうだ。
しかし、ここがどこなのか分からないという不安からじっとしていられず、その場から立ち上がって壁沿いに移動を始めた。ドアを開けると廊下に出た。
他にも複数の扉がある。どうやら一軒家といった感じの雰囲気だった。
廊下をしばらく歩いていくと、どこからともなくいい匂いがした。なんの匂いだろ。
まるで野生動物かのようにいい匂いに誘われ、そちらの方にいくと、入り口に扉のない部屋から明かりが漏れていた。
光が漏れてた場所はどうやら台所のようでそこには幼い少女と高校生ぐらいの女性が立っていた。
昔から好奇心旺盛な奏は気になったら確かめずにはいられない性格だった。
今も自分がよく分からない場所にいる事も忘れて、正体の分からない女性二人に近づこうとしているのだから。
しかしながら、彼女も馬鹿ではない。台所には直接入らず、壁に沿って台所の中に聞き耳を立てていた。
「え、お姉ちゃんこの薬草入れるの。」
「ええ、栄養満点だからね。」
「でもこれ苦いよ。」
アリーは嫌そうな表情を浮かべる。
「べつにあんたが食べるわけじゃないんだから。だいたいアリアは好き嫌い多すぎ、野菜はほとんど食べ れないじゃない。こないだだって。」
「お姉ちゃん、だってベジタリアンで肉食べれないじゃん、それもあんまり体にいいとは思えないけ ど。」
「・・・とにかく、この薬草は入れた方が健康にいいからいれておくから。あの人、多分大人だから食べ れるでしょ。」
「何歳ぐらいなんだろうね。」
「私より5歳くらい年上だと思うわ。後で一応村の人にも聞くけど、この村の人ではなさそうね、あんな 軟弱な体付きしてなんであんな所にいたのかしら。」
「まあ、後で聞けば分かるよ、きっと。」
「そうね、今はさっさと作って持っていきましょう。」
薬草な鍋に入れて10分経った。もうそろそろ出来そうになった時の事だった。
後ろから何か物音がしたのだ。二人が後ろを振り返ると
「ちょっと、お姉ちゃん、さっき助けた人、そこで倒れてるよ。」
「目が覚めてどこか分からないのが不安で無理して歩き回ったのね。」
クロエは台所の火を止めると、倒れた女性の上半身を持つ。
「アリーは下半身を持ってこの人をもう一回ベットに運ぶよ。」