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王国没落
その日、大陸の王が急死した。王としての器量も申し分なく慈愛にそのうえ慈愛に満ちた王であり、多くの国民から愛されていた。その為、国民は深く悲しみ、王の葬儀にはほとんどの国民が参列したと言われている。しかし、王宮内では悲しみ以上に不安の感情に支配されていた。理由は国王が跡継ぎをきちんと決めずに死んでしまった事である。国王には5人の子供がいたが、そのうち候補は2人だった。一人は長女で通常王位を継承する立場にあったが平民の母を持つため、一部貴族達からの心証はあまり良くなかった。長女を次の王として認めぬ貴族達は母親の身分が共に高い次女を担ぎ出した。しかし、次女は気が弱くあがり症で人前に立つ王位にはつきたくなかった。そのうえ、長女と仲が良かった為、長女との王位継承争いを拒んだ。しかしながら、その様子を見た一部貴族が次女を傀儡の王として担ぎ、自分達が実質的な国家のトップに立とうとした。その結果、王国の権威は失墜し、一つの王国によって支配されていた。大陸は戦乱の時代に突入していく。